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ダンジョン飯で、IF 長編版

作者:蜜柑ブタ
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短編集編
  IFのIFのIF  悪食の人魚

 
前書き
※ほら吹きねこ様とのやりとりで出た、人魚ライオスネタ。
※人魚パロだけど、人食いネタ。
※現パロっぽい。
※オリキャラの釣り人が犠牲に……。
 

 
 知りたくなった。
 だから食べてみた。
 美味しかった。





***





 とある場所の海岸で、海で行方不明になる遊泳者が後を絶たない事件が起こっていた。
 海上警備などからは、サメが出たという話は無い。
 だが、あまりにも行方不明者がいるため、忽ちその海岸は遊泳禁止となった。
 その海岸近くに、小舟が一隻浮かんでいた。
 釣り人である。
 無断で入ってきて釣りをしていたのだ。
「ここいらも、夏はワーワーキャーキャー騒がしかったのによぉ…。あーあ、海の家も寂れちまって…。」
 双眼鏡で海岸にある海の家を見て、釣り人は、そんな独り言を言っていた。
 その時、垂らしていた釣り竿が反応した。
「おっ! 来た来た! あっ、ちくしょう、バレたらか…。」
 そうブツブツ言いながら、釣り人は、釣り針を上げ、餌が無くなってたので新たに餌を付け始めた。
 その時だった。
 ガクンッと船が一瞬横に揺れた。
「?」
 波で揺れたのか思ったが、それにしてはおかしい揺れ方だった。
 パチャンッと音が聞こえて、そちらを見ると……。

 小舟の縁に、金髪の人間…が腕を乗せてこちらを見ていた。

「はあ?」
 この辺りは、遊泳禁止だったはずだ。
 見たところ、若い青年だ。金色の瞳がこちらをジッと見ている。
 しかしよく見ると、その耳は、魚の胸びれのようになっており、青年の後ろの方には、青緑色の大きな尾ビレがフリフリと水面を揺らしていた。
「うそ…だろ?」
 それらの要素から導き出された答えに、釣り人はその答えを咄嗟に否定しようとした。

 人魚。

 おとぎ話や、伝説上にしか語られていない存在だ。
 グルグルと思考していた釣り人の男を正気に戻すように、またパチャンッと音が鳴った。
 それで我に返った釣り人は、改めて人魚を見た。
 見たところ、というか、どう見ても男のようだ。
 整った顔立ちではあるが、体つきは、男のそれだ。
 腕を組んで船にもたれかかっているので見えないが、おそらく胸は無いだろう。
「人魚つーたら、女が定番だろ?」
 苦笑いを浮かべてそんなことを呟く釣り人。
 こちらの言葉を理解していないのか、人魚は、ジーッと釣り人を見ているだけだった。
「……言葉わかんねーの?」
 一応聞いてみる。
 すると人魚は、コテッと首を傾げる。
「どっちだ?」
 理解しているのか、してないのか?
 ただこちらをジッと見てきている人魚。
 釣り人は、ほんの少し好奇心が湧き。
「その耳、本物か?」
 っといたずら半分で耳に手を伸ばそうとした。
 すると、その手を人魚に掴まれた。
「はっ?」
 そして、グイッととてつもない力で引っ張られ、釣り人は、船の上から海に落とされた。
 慌てて水面に顔を出して呼吸する、キョロキョロと周りを見ると、人魚がニコニコと笑っていた。
「こ、この野郎!」
 はめられたっと理解した釣り人は、人魚の顔に向かって手を振り上げた。
 すると人魚は、ヒョイッと避け、そのまま海の潜り、尾ビレを出してバシャンッと水しぶきを上げた。
 もろに水しぶきを受け、視界を奪われた釣り人の下に、人魚が行った。
 そしてその足を掴む。
 釣り人はすぐに気がつくが、海は人魚の独壇場。陸上に生きる人間が勝てるはずが無いのだ。
 そのまま一気に海中に引っ張り込まれる。
 釣り人は、逃げようと暴れる。
 どんどん海面は遠ざかっていき、息も続かない。
 暴れる力がなくなってきた時、足に激痛が走った。
 見ると、人魚が半パンでむき出しになっていた釣り人の足に噛みついていた。
 噛みつかれた箇所から、血があふれ、青い海に血が広がる。
 釣り人は、理解した。
 なぜ、この辺りの海岸で遊泳者が行方不明になっていたのか。


 こいつ(人魚)が、遊泳者を食っていたからだ。


 酸素不足で鈍る思考の中、釣り人は、そう確信しながら人魚に食われた。





***





「あら、ライオス兄さん。今日は珍しく人間が採れたのね。」
 人魚と同じ色の髪と眼を持つ女性が、波打ち際の洞窟の岩場に座っていた。
 ライオス兄さんと呼ばれた人魚が、自慢げに食べた釣り人の首を両手で持って女性に見せた。
「この辺も人が入らなくなっちゃったから、若い人間が採れなくなったね。別の場所に行く?」
 すると、ライオスは首を横に振った。
「……そうね。ここは、迷宮に近いもの。人が居なくなったから静かに暮らすにはちょうど良いわ。」
 女性は、クスクスと笑う。
「私と兄さん……。二人だけで十分だもの。」
 そう言いながら、女性は、ライオスの頬を撫でた。
 
 

 
後書き
これ、人魚でやる必要あったかな?っと思いつつアップした短編でした。 
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