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殺しはしない

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第二章

「そのうえでだ」
「今も続けているが」
「人の身体の一部を奪うことを」
「それを続けるのか」
「我等に追われ止めようとされても」
「戦っても」
「俺はまた生きたいんだ」
 心からの言葉を出した。
「そしてだ」
「そのうえでか」
「身体を全て手に入れて」
「そしてか」
「そのうえでか」
「また人間として生きるのか」
「そうしたい、そして必ずそうなる」
 間違いなくと言うのだった。
「俺は再び人間として生きる」
「罪を犯してもか」
「それでもまた生きたいのか」
「他の者を犠牲にして」
「それでもか」
「そうだ、俺はそうしてでも生きたい」
 純粋なこの気持ちを偽らずに言うのだった。
「何があってもな」
「それはエゴだ」
 先程とは別の退魔師が奪に言った。
「御前の」
「そうだな」
「わかっているか」
「わかっていてだ」
 そうしてというのだ。
「先程言った通りだ」
「それでもか」
「俺は生きる、絶対にな」
「あくまでそう言うか」
「御前達が止めようともな」
 例えそうしてもというのだ。
「そうする、あと少しだ」
「それはわかった、だが」
「止めるな、あくまで」
「考えをあらためろ、そしてだ」
「死ねというか」
「御前は死んだ、そのことを受け入れろ」
 これが退魔師達の言うことだった。
「そしてだ」
「死ねか」
「そうだ、安らかに眠れ」
 あくまでこう言うのだった。だが奪は聞かず。
 彼等とこれで何十回目かわからない戦いを行い彼等を退けた、だが彼等を殺すこともなかった。それでだった。
 彼等は地に伏しながらそのうえで奪に問うた。
「またか」
「また我々を殺さないのか」
「倒しはしても」
「それでもか」
「俺は何があっても殺しはしない」
 例えそれが敵であってもというのだ。
「それが敵であってもな」
「何故それにこだわる」
「人を殺そうとしない」
「そこまで生きようとするのに」
「奪った相手も倒した相手も殺さない」
「そうするのは何故だ」
「人間に蘇ってだ」
 そうしてとだ、奪は退魔師達に答えた。
「再び人間として生きたいからだ」
「だからか」
「誰も殺さないのか」
「何があろうとも」
「そうだ、俺は絶対に誰も殺さない」
 こう言う、そしてだった。 
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