八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十七話 破傷風その一
第百六十七話 破傷風
僕は晩御飯の後お風呂に入って勉強をしてそれが終わってからだった。十二時位に書斎に出てだった。
本を読もうとした、するとそこに香織さんがいて僕に言ってきた。
「飲みに来たの?」
「いや、本を読みに来たけれど」
「お酒あるわよ」
見れば一升瓶を一本傍に置いている香織さんだった、まだ空けてなくて瓶の中に清酒が並々としてあった。
「ここにね」
「食堂から持ってきたんだ」
「寝酒にね」
「それ全部飲むの?」
「もう一本あるわよ」
こう言ってもう一本出してきた。
「だから義和もね」
「飲もうっていうんだ」
「どうせ後は寝るだけでしょ」
「それはね」
「何か今日は寝付けなくて」
今度はおつまみを出してきた、柿ピーだ。
「そんな感じがするから」
「飲んでなんだ」
「それから寝ようって思ってるの」
「そういえば何か今日は」
まだ暑いせいかだ、僕もだ。
「妙に寝付けないよね」
「クーラー効いてても暑いわよね」
「だからね」
「お酒を飲んでなんだ」
「それで寝ようって思ってるの」
「一升空けてそれでなんだ」
「寝るつもりなの、それでもう一本はね」
そちらのお話もする香織さんだった。
「義和の分よ、最初は飲めたら飲もうって思ってたけれど」
「僕にくれるんだ」
「飲む?おつまみもあるし」
その柿ピーを指し示しながらの言葉だった。
「二人で飲みましょう」
「それじゃあね、ただ本当にね」
僕は香織さんの隣の席に座りつつこう言った。
「まだ暑いよね」
「そうよね、まだね」
「彼岸まではね」
「暑さ寒さはよね」
「暑いままだよ、だから今はね」
「我慢するしかないわね」
「この暑さにもね」
そしてクーラーが効いててもその暑さで寝苦しい感じもだ。
「我慢してね」
「寝るしかないわね」
「それしかないね、じゃあね」
「空けるわよ」
香織さんはこう言って実際に一升瓶の蓋を開けてくれた、それから香織さんの分もだ。そうしてだった。
二人でそれぞれのコップにお酒を入れて完敗をしてから飲んだ、香織さんは一口飲むと笑顔でこう言った。
「やっぱりお酒はいいわね」
「日本酒は?」
「ええ、飲むとね」
それでと僕に笑顔で言ってきた。
「気持ちよくなるわ」
「それで寝るのもだよね」
「心地よくね」
寝られるというのだ。
「だからこうした夜はね」
「飲むんだ」
「そうしてるわ、未成年だけれどね」
「八条町は町の条例で飲んでいいからね」
例え未成年でもだ。
「十五歳になったらね」
「凄い条例よね」
「うん、それでその条例のお陰でね」
「私達もおおっぴらに飲めるのね」
「そうだよ、じゃあね」
「今からよね」
「一升空けて」
「それで寝るんだね」
こう香織さんに聞いた。
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