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レーヴァティン

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第七十話 セビーリアに向かいその八

「そうして異端や異教徒とされる人達を強引にもです」
「改宗させて勢力を拡大させたんだったな」
「そうしてきました」
「かなり酷いこともやったしな」
 久志は眉を顰めさせてこうも言った。
「十字軍は」
「中東でも酷かったですが」
「コンスタンティノープルも攻めたしな」
「はい、何を血迷ったのか」
 エルサレムを占拠するイスラム教徒達を攻撃せずにだ、同じキリスト教徒である筈のビザンツ帝国を攻撃したのだ。
「あの街を占領してです」
「無茶苦茶やったな」
「あらゆる悪事を」
 略奪の限りを尽くしそのうえでだった。
「行いました」
「とんでもないことしやがったな」
「そして南フランスでもです」
「アルビジョワ十字軍な」
「あちらでもです」
「相当に殺したんだったな」
「それも惨たらしく」
 異端とされたカタリ派もカトリックも関係なく殺した、神が見分けると言ってだ。
「そうしました」
「それを考えるとな」
「この世界のカトリックは平和です」
「今の俺達の世界のカトリックみたいにか」
「平和です、幸いなことに」
「碌でもないことになるからな、攻撃的な宗教だと」
「十字軍の様に」
 まさにというのだ。
「なりますね」
「ああ、破壊と虐殺と殺戮のな」
「その権化になります」
「どっかの国が言う日本の統治みたいにな」
 久志もわかっていて言う、戦前の日本が実はそうした統治とは正反対の統治を行っていたということを。
「そんなことしていたな」
「そうです、しかしこの世界のカトリックは」
「そこまでいかないか」
「腐敗もです」 
 これもというのだ。
「確かに多少はあるでしょうが」
「こっちの世界の中世みたいなな」
「人類への挑戦かという位の」
 人間は何処まで腐敗出来るかということについてだ、バチカンの腐敗はそこまで至っていたと言っても過言ではなかった。
「そこまでの腐敗はです」
「至ってないよな」
「遥かにましです」
 順一はこのことについても強く言った。
「多少程度です」
「こっちのバチカンは凄かったからな」
「先程申し上げた通りです」
「人類への挑戦か」
「日本では比叡山が言われていましたが」
 その腐敗ぶりがだ、その為信長も糾弾し攻める時にその理由の一つにした程だった。
「ですが」
「その比叡山でもな」
「あそこまではとても」
「腐ってなかったからな」
「その比叡山の僧侶達が見てです」
 バチカンのその腐敗をだ。
「腰を抜かして驚くまでにです」
「バチカンの腐敗は酷かったからな」
「あれは最早悪夢の世界です」
「何でもありの腐敗だったからな」
 他者への徹底した弾圧と虐殺、略奪、奢侈に謀略、権勢にとだ。そこには人類の悪徳が全てあると言ってよかった。 
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