八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十六話 長くなってきた夜その十四
「それも人間より大きいらしくて」
「その巨大カンガルーに襲われてですか」
「大怪我した人もいるとか」
「そんなお話もあるんですか」
「あとフクロオオカミがまだいるとか」
「それは僕も聞いてます」
フクロオオカミと聞いてすぐにこう返した。
「絶滅したと言われててですね」
「まだ目撃例とかある」
「それわからないんでしたね」
「いて欲しい、タスマニアタイガーは」
エリザさんはそのフクオオオカミの英語名も言った、そのまま訳すと有袋類なのでフクロトラが正しいのかも知れない。
「出来ることなら」
「いたらいいですよね、本当に」
「心から思ってる」
「そうですよね」
「若しいればね」
日菜子さんもフクロオオカミについて話した。
「もう世紀の発見よね」
「まさに」
「そうよね、本当に」
「人間のせいで絶滅したし」
「そこで白人のせいとか言わないのね」
「人間は人間、それに私白人の血も引いてるから」
「あっ、そうだったわね」
「両方の血が入っているから」
オーストラリアの原住民であるアボリジニーと移住してきた白人の人達のだ、とはいってもアボリジニーの人達も十世紀以降に移住した人達と聞いている。
「そうしたことは言わない」
「そうなのね」
「人間は人間」
またこう言ったエリザさんだった。
「だから私はそうは言わない」
「白人のせいとかは」
「人間は人間、アボリジニーも自然を害してきたし」
「そうなの?」
「ディンゴを持って来たし」
オーストラリアの犬だ、元はアボリジニーの人が持ち込んだ飼い犬だったと言われている。
「そのこともあったし狩って食べて」
「自然と一緒にいても」
「そう、そう言うとなの」
「アボリジニーも白人も同じなのね」
「私はそう思う、人間は自然の中にいつつ自然を壊してもいる」
「難しいことね」
「それでタスマニアタイガーを絶滅させたなら悲しい」
こう言うのだった。
「そしてそうでないなら」
「嬉しいのね」
「そう」
日菜子さんにぽつりとした口調で答えた。
「私にしても」
「そうなのね」
「私の予想ではいる」
「フクオオオカミはまだ」
「そう、それが何時かはっきりするから」
「絶滅していないのね」
「人間は世界のほんの少ししか見ていないから」
よく万能だのそうだの言っているけれどだ、人間の目はその程度のものでしかないというのだ。僕もその通りだと思う。
「だからわかっていなくて、けれど」
「それが何時かなのね」
「わかるから」
「いることが」
「そう、絶対に」
エリザさんはぽつりとした口調に夢を入れていた、その夢がはっきりと見える口調で日菜子さんに行っていた。
「フクロオオカミは見付かる」
「絶滅していなくて」
「絶対にいる」
「そうなのね」
「タスマニア島にいる」
オーストラリアの南のこの島にというのだ。
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