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真ソードアート・オンライン もう一つの英雄譚

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インテグラル・ファクター編
  第二層攻略 第三のボス

現在、俺とキリトは迷宮区でレベリングと明日の連携の練習をしている。
え?なぜ、キリトと連携の練習しているのかって?俺達両方の相方なら現在山籠り(自業自得)中なので、女っ気0でむさくるしいのは我慢してほしい。

「大分呼吸も合ってきたな」
「まあ今までも何度かコンビ組んで狩りに行ってたしな」

元々の波長も似ている二人ってのもあり、絶妙なタイミングの攻撃もすぐに出来るようになった。

「さて、そろそろあがるか。偶にはレストラン行こうぜ」
「オーケー」

俺達は迷宮区を抜けて転移門の前に来ると、《タスク》の街に転移する。

「この層は本当に牛ばっかだよな。牛肉が滅茶苦茶ドロップしたよ」
「おっじゃあまた近くの民家に入って焼いて食おうぜ」

以前、キリト、アスナ、コハルとカニパーティーをしたのを思い出す。息抜きとしてやったけどなかなか楽しかったよな。
民家に入って早速牛肉を串に刺して煖炉の火で炙る。
相変わらずキリトは焦がしてばかりだったが、なかなか楽しく食事が出来た。
宿に戻ると、サッと風呂に入りベッドに横たわる。

「さて、明日はボス戦か……気合い入れていかないとな」

俺はそのまま眠りについた。














「みんな注目ー!ギルド《ドラゴンナイツ》のリンドだ!俺が第二層のボス戦のリーダーを務めることになった!みんなよろしくな……!」

リンドは前線を離れているディアベルの真似をしているのか、なんだか似合っていない。

「なんつーか不安だな。リンドってやつ大丈夫か?カリスマ性皆無なんだって事が見え見えだし」
「ディアベルの真似をして、まとめあげてるつもりなんだろ?気にしないで俺達の仕事をこなそう」

キリトと共に本隊の後ろの方で待機していると、巨躯な黒人のエギルがやってきた。

「オイオイお二人さん、お姫様達はどうした?コンビを組んだって話をきいてたんだがな」
「色々事情があってな。コハルは参加出来なくなったんだ」
「俺とアスナはコンビじゃなくて、あくまで一時的な協力態勢だよ。そんなことより第一層以来だな。ボス戦では世話になった」
「こっちのセリフさ。で、どうだ。俺達のH隊は四人でまだ二人入れるんだが来ないか?」

エギルはそう言ってくれる。キリトはビーターの事で一瞬躊躇したが、エギル達は気にしていないらしく快く受け入れてくれた。

「因みに役割は?」
「取り巻き担当だ。ボス本体はA~Fのキバオウ派閥とリンド派閥が独占してる」
「取り巻きって《ナト・ザ・カーネルトーラス》のことか!?」
「なんだよキリト。そんなに驚いて」
「あれは中ボスクラスの敵だ。それを一隊では無理だ。残りの一隊は?」

エギルはリンド達の方に視線を向ける。視線の先には、

「《レジェンドブレイブス》か。ボス担当にしろってゴネてるわけだな」

すると、レジェンドブレイブスのリーダーのオルランドがやってきた。

「《ナト大佐》担当のH隊とは卿らであろう?お初にお目にかかるが……エギル殿でよかったかな?」

オルランドはエギルに手を差し出す。エギルもフッと口元を緩めると、オルランドと握手を交わした。

「ああ、よろしく頼むオルランドさん」

オルランドはそのまま俺達に視線を向ける。

「黒衣の剣士殿と流星の如き剣技を見せてくれた剣士殿。せんだってのフィールドボス戦は天晴れな武者振りであった!黒衣の剣士殿には既に二つ名があると!由来は承知しておらぬが確かビー……『《ブラッキー》。黒ずくめって意味だ。俺達はそう呼んでる』」

オルランドは、ふむ……と考えるように顎に手を添えると直ぐに納得したように頷いた。


「担当調整はすんだな……よし!では今こそ開けよう。俺達の勝利へのとびr『待ってくれ』……なんだ?」

発言したのはエギルだ。カッコ良くセリフをキメてやろうとしたリンドは出鼻をくじかれたことに若干苛立ちを込めながらエギルを見る。
エギルは第一層の時のように攻略本の内容との違いがあったときの対処方法についてのお攫いを確認した。

「コホン…………では今こs『ちょお待ってんか!』今度はなんだ!?」

今度の発言者はキバオウだ。キバオウ曰く、ボスの部屋に入った事の無い情報屋の言葉ではなく、βテストの時に実際入ったことのあるキリトの意見を聞こうと言い出した。
俺とキリトはキバオウのその行動に警戒を少し強めた。しかし、だからと言ってこれ以上の犠牲者を出す訳にはいかない。

「ボスの《バラン・ザ・ジェネラルトーラス》と取り巻きの《ナト・ザ・カーネルトーラス》はこれまで戦ってきたトーラス族のMobと基本的にはモーションは同じだ。でも、2体とも電撃系の攻撃を使ってくる。これは絶対に避けてくれ。受けるとスタンになって一定時間動けなくなる。スタンを二重に受けると麻痺状態になって回復アイテムを使うまで動けなくなる。……俺達はこれに苦戦して、何度も死に戻りを繰り返した。でも、この世界に死に戻りは存在しない」

場の全員は息を呑む。

「ほな始めよか」
「ちょ!?それは俺の役目ってああもう!!皆かかれ!!」

俺達はボスの部屋に突撃した…………が、立っていたのはざっと五メートルを超える巨大な二体のボスだった。

「デカっ」

誰かが思わず声あげる。まあ無理もないだろう。俺達は早速ナト大佐に突撃する。

「三連撃くるぞ!」

ナト大佐のハンマーから三連続攻撃が来るも、エギル達タンクに防いでもらう。

「今だ!お二人さん!」
「おう!行くぞアヤト!」
「了解!」

俺達は左右逆に飛び、ナト大佐の脇腹を攻撃したり回って翻弄しながら攻撃したりする。
すると、ナト大佐のモーションに変化が起きた。これはキリトが言ってた電撃系の攻撃!?
マズイ!!

「「コハル(アスナ)!!」」

俺達ハッとする。後ろでエギル達はニヤニヤしながら回避の為に下がっていた。

「ディレイ入ったぞ!G隊スイッチだ!」
「いざ行かん!伝説の勇者達よ!突撃!!」

俺達H隊とレジェンドブレイブスのG隊とスイッチする。
すると後ろからエギルが現れ、回復ポーションを渡してくれた。

「はっはっは!どうした?やっぱり野郎より相棒達のほうがいいのか?」
「あんなわからず屋知らないね!それにアヤトとだって十分戦いやすい!」

キリトはポーションをぐびぐびと飲み干す。

「ところであの時のレア物の斧はどうしたんだ?」
「ああ……まあ色々あってな。パフォーマンスは落とさんから安心してくれ」

ふと、ナト大佐とブレイブスの戦いを見てみる。中々戦い方が上手くなってる気がした。

「あいつらナリだけじゃなく中身も大分強くなったな」
「ああ、もう少ししたら俺達も戻ろう。キリトはどうだ?」
「分かった。俺もスタンバイ出来てる」

「か、回避ー!!」

リンドの声が聞こえてくる。
俺達は本隊の方を見ると、ボスの武器であるハンマーに電気が集められて今にも振り下ろされて直撃されそうだった。本隊はどうにか誰も直撃即死することはなかった。が、一撃で麻痺になったプレイヤーが多く出てしまった。

「は、早く麻痺になったヤツらを引っ張っていくんや!」

キバオウは叫ぶ。もう連携は崩壊してる。はっきり言ってこれは危険だ。リンドも一人で何かつぶやいている。

「まだだ……まだ戦えるんだ……」
「リンド!!」

ハッとリンドは顔を上げる。

「これ以上麻痺者が出たら危険だ!惜しいがここは退いて仕切りなおそう!」
「で、でももう半分だぞ!?ここで退くなんて……」
「とは言え陣形も崩れ、三分の一が麻痺になってる今はかなり危険だ」
「ぐっ……」

確かに今のこの状況がマズイのはリンドも十分理解しているようだ。

「あと一人や。あと一人麻痺者が出たら退く。それまでやってみぃひんか?」

俺達は声の方を向く。キバオウだ。でも……

「いいのかキバオウさん?仕切り直したら次はアンタがリーダーになれるのに……」
「わーっとる。けどな、皆タイミングは掴めてきてるし集中も出来てる。士気も高い。この状況は最悪やけど、戦えてるモンは最高の状態なんや!それに、ワイは損するのは大っ嫌いやねん」

キバオウの言葉にリンドは考えると、その意見に賛成した。

「それでいこう。提案……感謝する」

すると、キリトがやってきた。

「話はまとまったみたいだな。基準が明確ならそれでいいさ。ゲージがラス1になったら気をつけろよ!いこうアヤト」
「ああ!」

俺達は再びナト大佐戦に戻ると、レジェンドブレイブスの活躍によりナト大佐のHPは僅かになってきていた。ナト大佐は咆哮をあげると暴走モードを告げる全身赤みをおびた姿になった。

「どっちもβの時と同じだな。どうやらこの層は変更点は無いらしいな!これならやれる!」
「ああ!俺達も戻ろう!」
「なあブラッキーさんよ。一ついいか?」

戦線復帰しようとした時、エギルに止められる。

「俺はどうにも腑に落ちないんだが、第一層のボスは《ロード》要するに君主だ。……でも、第二層では《ジェネラル》。将軍に格下げされてるのかだ」

すると、フィールドに地響きが起こる。中央から何かが現れる。
それは俺達人間への救世主ではなく、強大すぎる絶望だった。 
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