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空に星が輝く様に

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97部分:第八話 ファーストデートその五


第八話 ファーストデートその五

「小学校の時からかな」
「それじゃあ結構」
「ああ、知ってるよ」
 実際にそうだと話してもみせた。
「あの本屋だってそうだしさ」
「他には?」
「マクドナルドだって映画館だってあるし」
「今から行くその映画館ですよね」
「うん、そこ」 
 まさにそこだというのである。
「後はラーメン屋もあるしさ。うどん屋もいい店があるよ」
「そうですよね。ここって色々ありますよね」
「だからここ好きなんだ」
 純粋にこのことを述べてみせたのである。
「今もさ」
「高校になってもですか」
「西堀もここ好きなんだろ?」
 今度は月美に対して問うてみせた言葉であった。
「だから今笑顔なんだよな」
「はい、そうです」
 まさにその通りだと返す月美だった。
「あとは」
「あとは?」
「いえ、それは」
 言おうとしたが止めた。顔は赤らんでいる。
「少し」
「言えないとか?」
「すいません」
 その赤らんだ顔での言葉である。陽太郎はその赤らんだ顔は見た。しかしそれがどうしてなのかまではわからなかった。それに気付くにはまだ経験不測であったからだ。
「けれど。今とても楽しいです」
「そう。ならよかったよ」
「それでですけれど」
 月美からの言葉であった。
「まずは映画館に行くまでに」
「何か食べる?」
「何処がいいでしょうか」
 食べ物の話をしてみせたのである。
「色々ありますけれど」
「そうだよな。うどんだっていいしさ」
 陽太郎はまずはうどんを話に出した。
「ラーメンもハンバーガーもいいしさ」
「麦は後でパン屋さんに行きますから」
「あっ、そうか」
「今は御飯にしませんか?」
 こう彼に提案するのだった。
「丼か何かで」
「ああ、丼か。それもいいね」
「牛丼とか」
「えっ!?」
 牛丼と聞いてであった。陽太郎は我が目を疑う顔になって月美に顔を向けた。自分の横にいる彼女を見ずにはいられなかったのだ。
「今何て?」
「牛丼ですけれど」
「それでいいの?」
 その驚いた顔でまた問うた。
「いや、牛丼で」
「何かありますか?」
「いや、西堀も牛丼食べるんだ」
「そうですけれど」
「そうだったんだ」
 意外といった顔はそのままだった。
「西堀が牛丼って」
「女の子皆好きなんじゃないですか?」
「そうか?何か牛丼ってさ」
「男の子が食べるものとか?」
「あと超人とか」
 漫画の話もさりげなくするのだった。この話は昔のものだが今もしっかりと残っている。かなりの宣伝効果があるのは確かなことである。
 
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