空に星が輝く様に
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
81部分:第七話 二人の仲その六
第七話 二人の仲その六
「それもかなり」
「贅沢なのか、俺は」
「彼女がいるのは幸せなこと」
椎名は水餃子と炒飯の定食を食べている。食べながらの言葉だ。
「特に狭山みたいな人間は」
「おい、待て」
今の椎名の言葉には速攻で突っ込み返す狭山だった。
「そこでそう言うのかよ」
「言う」
「何なんだよ、そりゃよ」
狭山も憮然とした顔で椎名に返しはする。
「俺の何が悪いんだよ」
「全部」
「そうかよ。ったくよ」
「否定しないのね」
「流石にそこまで言われたらな」
憮然とした顔のままだがそれでも言うのだった。
「文句も言えないさ」
「そうなの」
「しかし。確かにそうだよな」
何だかんだで椎名の言葉に頷きはした。
「本当にな。彼女がいるってことはな」
「それは私でいいのよね」
「若しそうじゃないって言ったらどうするんだよ」
「はったおす」
どっちにしろこの言葉が出るのだった。津島の口からはだ。
「その通りよ」
「結局そう言うんじゃねえかよ」
「そういうことだから。わかったわね」
「わかったよ。とりあえずな」
「ええ」
「今度デートするか」
相変わらずマカロニを食べながらの言葉だ。
「何処に行くんだ?」
「じゃあカラオケ」
狭山のその言葉ににこりと笑って返す津島だった。これこそまさに彼女が望んでいた展開だ。ならば乗るのも彼女にとっては道理だった。
「そこね」
「わかった。じゃあスタープラチナな」
「あそこ歌い放題飲み放題だしね」
「そうなんだよな。酒が好きなだけ飲めるってのがいいんだよな」
「そうそう」
「飲むんだ」
楽しく話す二人に言ってきたのは赤瀬だった。秋刀魚を丸ごと頭から食べている。その左手には巨大な丼があり親子丼がそこにある。
「お酒」
「っていうか普通だろ?」
「お酒飲むのは」
二人は赤瀬の問いに平然と返した。何でもないといったふうにだ。
「それ位はね」
「ここじゃ」
「まあそうだけれどね」
赤瀬もこの町にいるからわかる。八条学園のある八条町は酒に関しては極めて緩やかである。どれだけ飲んでもいい社会である。
「僕も飲むし」
「無茶苦茶飲むんだな」
「その巨体だと」
「ビールだったら六リットル」
いきなりそれだけ話に出す。
「いけるよ」
「普通の量じゃねえよな」
「私の二倍じゃない」
狭山も津島もそれだけ飲むと聞いて目が点になった。そのうえでの言葉だ。
「じゃあ一升瓶はか」
「二本はいけるのね」
「軽く」
こう返す始末だった。
「日本酒が一番好きだから」
「食費とか飲み代大変だな」
「全くね」
「私もそれだけ飲む」
しかも椎名も言うのであった。
ページ上へ戻る