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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第十二幕その四

 黒薔薇を観ますと。
「あっ、シックな感じも」
「うん、喪服じゃないけれど」
「先生の落ち着いた紳士さにはね」
「黒も合うわね」
「先生の中には黒もあるのね」
「そうかも」
 こちらの要素もというのです、黒薔薇を観ながら思うのでした。
 そして今度は黄色い薔薇ですが。
「明るい色ね」
「先生は明るい性格だし」
「華やかではないけれどね」
「明るい性格で周りを幸せな気持ちにさせてくれるし」
「知識や教養に基づくアドバイスで」
「それなら黄色もね」
「あるかも」
 その黄色い薔薇達を観て思う皆でした、そして次は紫の薔薇ですが。
「高貴ね」
「先生は高貴なお心だしね」
「そうそう、飾り気がないけれど品性は確かで」
「紳士だしね、何といっても」
「完璧な紳士だから」
「紫もあるかも」
 こちらの要素もというのです、先生にはあるというのです。
 紫の薔薇の次は青薔薇達ですが。
「知的な感じがするけれど」
「先生は知的な人だし」
「他の誰よりも」
「それだとね」
「この薔薇も合うわね」
「青が知的なら」
「先生に相応しいわ」
 まさにというのです、この新しい薔薇達も。
 最後はピンクの薔薇達ですが。
「女性的な色よね、ピンクは」
「どうしても男性の先生には合わない?」
「けれど女性にも紳士で公平な先生だし」
「いつも女性を尊重しているしね」
「女性への配慮は欠かしていないから」
「この薔薇も先生の中にはあるかも」
 ピンクの薔薇達にも思うのでした、こうして薔薇園の中を見回ってからです。動物の皆はあらためてお話をしました。
「一通り観たけれど」
「どの薔薇も先生に相応しい?」
「そう思ったね、どうも」
「どんな色の薔薇もね」
「全部相応しいよ」
「そんな感じがしたわ」
 観てみての感想です。
「どうもね」
「これだってはっきり言えない」
「これは難しいね」
「どの薔薇が相応しいかって思ったら」
「よく観たら一概に言えない」
「そうなったよ」
「これは意外だね」
 実は皆はその薔薇なのか観ればわかると思っていたのです、それがどうにもわかりかねなくなったのです。
 それで、です。皆はまたお話をしました。
「どうなのかしら」
「ここではっきりしたことが言えないなんて」
「どの薔薇が先生に一番相応しいか」
「先生のお心を表しているか」
「果たしてね」
「わからなくなったよ」
 どうにもと言う皆でした、そしてその皆に先生は笑って言うのでした。
「僕の返事はもう決まっているから」
「うん、どんな薔薇でもだね」
「先生はいいのよね」
「そのことを受け入れる」
「そうなのよね」
「そうだよ、皆が決めたことなら」
 それならというのです。 
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