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オズのガラスの猫

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第十二幕その二

「予想していなかったよ」
「けれど河豚は美味しいでしょ」
「はい、ただあまりこの国では食べないです」
 市長さんはオズマに答えました。
「あまり」
「アメリカでは河豚はあまり食べないから」
「食べても」
「それでもなのよ」
「ここはですか」
「河豚よ、あのお魚でいくの」
 こう市長さんにお話するのでした。
「しかも色々なお料理を出すから」
「河豚のですか」
「お鍋にお刺身、唐揚げにぽん酢あえにカルパッチョにムニエルにアクアパッツァとね」
「色々ありますね」
「そう、色々出してね」
 まさにというのです。
「皆に楽しんでもらって」
「そうしてですか」
「そこからお魚の美味しさを知ってもらって」
「仲直りをですか」
「してもらうわ」
 是非にというのです。
「こんなもの出すなって怒ったのよね、あちらは」
「はい、シュールストレミングを」
「けれどね、ここはね」
「河豚をですか」
「出すから」
「わかりました、こうした場合は鱈や鮭のムニエルかイタリアのアクアパッツァ、若しくはパエリアかと思ったのですが」
「日本も入れていくから」
 むしろこの国のお料理をというのです。
「前面にね、それにイタリアも」
「両国のお料理で、ですね」
「河豚を出すからね」
「そうですか」
「というかいきなりそんなの出したら」
 ガラスの猫がまた言いました。
「シュール何とかをね」
「それが失敗だったと」
「あたしが聞くに凄い上級者向けのお料理じゃない」
 シュールストレミング、それはというのです。
「まあにね、そんなのを出したら」
「喧嘩にもなると」
「あたし達の中でそうしたお話もしたのよ」
 まさにというのです。
「いきなりシュール何とかはないって」
「美味しくとも」
「正直に言ってあれは爆弾よ」
 オズマも難しいお顔で市長さんにお話します。
「私がこれまでお話した通りね」
「お客さんにお話することもですか」
「絶対によくないわ」
「絶対ですか」
「ええ、そうよ」
 まさにというのです。
「だからね」
「今度からはですね」
「お魚料理はね」
 どうしてもというのです。
「オーソドックスがいいのよ、主観で美味しいと思うものを出すより」
「オーソドックスにですか」
「そうしたお魚でそうしたお料理で。シュールストレミングはスウェーデンでもメジャーでないのよ」
 言うならキワモノだというのです。
「だからね」
「あれは出さない方がいいですか」
「絶対にね」
「そうですか、では」
「ええ、今度からはシュールストレミングは出さないことよ」
 お客さんにはというのです。
「あちらからお願いされない限りね」
「そうすべきですか」
「本当にね、それと河豚は日本ではね」
「メジャーですか」
「外の世界では毒があって調理が難しいけれど」
「その様ですね」
「そう、けれどね」
 オズの国の河豚はといいますと。 
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