八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十五話 夏と秋その十一
「頭から否定してもね」
「いないとか言い切るとか」
それこそだ。
「出来なくなるよ」
「八条学園にいたら」
「科学の世界だけれど」
今の人類の世界はだ。
「それでもね」
「科学が万能か」
「そう言えるかっていうと」
「言えないと思うよ」
香織さんだけでなく詩織さんにも言った。
「八条学園に来たら、というか普通にしていても」
「八条学園にいなくても」
「それでもっていうのね」
「科学万能っていっても」
それでもだ。
「僕達が今知っているだけの領域だからね」
「万能っていってもね」
「それだけなのね」
「科学もどんどん進化していくから」
二十年前とは全く違うと言われている、五十年前なら尚更だ。その時の機械と今の機械は全く違う。
「今ある時点の科学で何でも言えるか」
「そうは言えないわね」
「やっぱりね」
「科学的に証明されていると言っても」
よく言われる権威だ、科学が絶対のものだとしたうえでの権威付けなんじゃないかと思う。この言葉にあるものは。
「それでもね」
「その時点の科学で」
「後でどうわかるかっていうと」
「それはわからないのね」
「否定されてるかも知れないのね」
「そう思うよ、それで科学は何処まで進化するか」
僕はこのことについても思っていることがある、その思っていることは何かというと。
「限度がないんじゃないかな」
「無限っていうのね」
「無限に進化していくものなのね」
「八十日で世界一周出来たら凄いって言われてたのに」
十九世紀にはだ、ジュール=ヴェルヌの小説もこうしたことが本当に出来るのかという話から書かれた話だ。
「今は飛行機使えばゆっくりしていてもね」
「十日?」
「止まったところで一泊ずつしていても」
「東京から世界の色々な街を回ってもね」
「それ位かしら」
「お金さえあったら」
世界各地を飛行機で行き来出来るだけのだ。
「もう世界の有名な街を回って一泊ずつしても八十日あれば」
「何十もの街回れるわね」
「そう出来るわね」
「そうなったからね、船でもね」
ジュール=ヴェルヌの時代の様にだ。
「あの小説と同じコース通ってもだよ」
「八十日かからないわね」
「全然ね」
「そうなったしね」
当時とは船も違う、石炭の船の時代も終わっている。
「これからもっと進化するし」
「科学は無限ね」
「何処までも進化していくわね」
「そうなっていくと思うから」
それでだ。
「今の科学では何でも断定出来ないよ」
「まあ今の科学で漫画やアニメを何でも出来ない無理だって断定はね」
詩織さんは考える顔で僕に応えてきた。
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