レーヴァティン
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第六十八話 女枢機卿その八
「教会軍と共に」
「ですからご安心下さい」
「そして必ずです」
「この島と世界をお救い下さい」
「はい」
厳かにだ、夕子は二人の枢機卿達に応えた。
「それではこれより」
「旅立つのです」
「この島と世界の為に」
「そうすればこのローマも救われます」
「世界が救われるのならばそうなりますので」
ローマは世界の中にある、さすれば世界が救われるならばローマが救われることになるのは当然だった。
「貴女は大きく羽ばたくのです」
「これより。宜しいですね」
「はい」
夕子はまた二人に畏まって応えた。
「今より世界を救う為に戦ってきます」
「そうして下さい」
「是非共」
二人の枢機卿達の言葉は暖かく優しくそれでいて深い叡智に満ちたものだった、その声で夕子を送り出してだった。
夕子は久志達と共に旅立つことにした、そのことが決まってからだった。彼女は久志達と共に聖堂の食堂で食事を摂りつつ話した。
「快くです」
「送ってもらえるか」
「そうなりました」
こう久志に答えた。
「有り難いことに」
「それは何よりだな」
「今から旅支度を整えますので」
「それが終わったらな」
「出ます」
冒険の旅、それにというのだ。
「これから」
「わかったぜ、ただな」
「ただ?」
「俺達は旗揚げをしたらな」
その時のこともだ、久志は夕子に話した。
「このローマに拠点を置くつもりなんだよ」
「この街にですか」
「ああ、この街が一番いいんだよ」
「旗揚げの拠点として」
「だからな」
それでというのだ。
「あんた近いうちにここに戻ることになるぜ」
「そうなりますか」
「そのうえで今度は冒険からな」
それが終わってというのだ。
「島を統一する為にな」
「政とですね」
「戦をな」
この二つをというのだ。
「やっていくからな」
「十二人揃ったならば」
「このローマを拠点にしてな」
「まずは島の統一ですね」
「それを目指すからな」
「ではまずはです」
夕子は久志のその言葉を聞いて言った。
「戦うよりもです」
「味方に引き込める勢力はか」
「出来るだけです」
「外交で引き込んでいくべきか」
「その方が遥かに簡単に勢力を大きく出来ます」
政治的な見方から言う夕子だった。
「そう出来ますので」
「戦って降すよりいいよな」
「戦えば」
そうした場合についても話す夕子だった。
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