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女子力

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第四章

「面白いし」
「昔はジャンプ系アニメばかりだったのにな」
「ドラマ面白いから」
 そしてゴシップ等もというのだ。
「観てるのよ」
「それで趣味も変わったんだな」
「そうかもね」
 そちらもと返した泉水だった、耳掃除を終えて今度は煎餅をぼりぼりと齧りそうしつつドラマを視聴している。
「実際にね」
「カード遊びやゲームよりもなんだな」
「ドラマ鑑賞とかね、あと読む雑誌もね」
「女性週刊誌とかな」
「面白いわよ」
 またこう言う姉だった。
「こっちも」
「食ってるものもスナック菓子から煎餅とかかよ」
「美味しいから」
「完全におばちゃんだろ」
「いや、どれもいいから」
 趣味も読む雑誌も間食もというのだ。
「やってみたらね」
「ったくよ、まだ十六だってのにな」
 この前十六になったばかりである、尚卓也は受験生だ。
「何でここまで変わったんだよ」
「だからアルバイトはじめてからよ」
「おばちゃんになったのかよ」
「皆に色々教えてもらってね」
「全然色気ねえな」
 これは元の日陰な感じの頃からだが弟はそこまでは言わなかった、これは姉への気遣いを出してのことだ。
「本当に」
「色気ね」
「おばちゃんなんてな」
「おばちゃんでも浮気してるけれどね」
「それマジかよ」
「パートの上田さん二十歳下の大学生の子好きだから」
 その話もした泉水だった。
「色気もあるわよ」
「それマジかよ」
「もっともこの前旦那さんにばれて殴られたけれど」
「それで離婚かよ」
「離婚はしてないけれどね」
「そんな話もあるのかよ、姉ちゃんのバイト先」
「色々あるわよ、子供さんがどうとか旦那さんの稼ぎとか嫁姑とか」
 そうした家庭の問題がというのだ。
「神経痛とかリュウマチとか糖尿病とか高血圧とか」
「色気も何もない話になってるぞ」
「そうね、まあとにかくね」
「バイト先で色々教えてもらってるのかよ」
「聞いててね」
「姉ちゃんおばちゃんになってるんだな」
「そうかもね、まあこれがね」
 そのおばちゃんがとだ、泉水は弟にあっさりとした口調で返した。
「快適だったりするから」
「くつろげるのかよ」
「かなりね」
 こう言いつつ煎餅を食べつつドラマ鑑賞を楽しむ泉水だった、彼女はアルバイト先で聞いて教えてもらった女子力もっと言えばおばちゃんの知識と技術を学校や家でどんどん出していっていた。そして気付けばだった。
 学校では仇名が決まってしまっていた、その仇名は。
「おばちゃん、ちょっといい?」
「何?」
 泉水はその仇名に何の抵抗もなく返した。
「何かあったの?」
「いや、私告白しようと思ってるけれど」
 あるクラスメイトが泉水に言ってきた。
「真壁君にね」
「ああ、C組のバスケ部の」
「あの子好きだから」
「彼付き合ってる子いるわよ」
 泉水はクラスメイトにすぐにこう囁いた。
「だって最近お洒落になったし色々可愛いアクセサリー鞄とかに付けてるでしょ」
「だからなの」
「ああした子はね」
「彼女出来たの」
「彼女に見せる為にお洒落してアクセサリーはね」
 そちらはというと。
「多分彼女の娘に貰ったものよ」
「そうなの」
「ええ、だからね」
「彼氏持ちに手を出すことになるから」
「それ修羅場だから」 
 泉水はクラスメイトに忠告した。 
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