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空に星が輝く様に

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491部分:第三十九話 あの場所へその一


第三十九話 あの場所へその一

                  第三十九話  あの場所へ
 星華はその日。一人で電車に乗った。
 するとその車両にだ。もう彼女がいた。扉のところに立っていたのだ。
「えっ、もういたの!?」
「たまたま」
 星華はその車両に乗りながら驚いた顔で椎名に問う。椎名は彼女にこう返す。
 星華はジーンズとシャツ、セーターの上にオーバーを着ている。椎名は白いロングスカートに黒タイツ、白いシャツと黒いセーター、それと黒い丈の長いコートだ。二人共重武装である。
 しかも二人共マフラーをしている。どちらも赤だ。椎名はそのマフラーを見ながら星華に話した。
「ここにいたらそっちが来たの」
「ううん、偶然ね」
「偶然だけれどいいこと」
「そうね。どっちにしても向こうの駅で待ち合わせだったし」
「その手間が省けた」
「そうね。それはね」
「いいこと」
 椎名はここで微笑みを見せた。
「それじゃあこうして二人で」
「行こうね」
 星華もだ。その椎名に笑顔で述べた。
「今からね」
「うん。それと」
「それと?」
「マフラー」
 その見ているマフラーのことをここで星華に告げた。
「御揃い」
「あっ、確かに」
 星華も椎名に言われてこのことに気付いた。
「同じ赤のね」
「赤いマフラー好き?」
「結構ね」
 そうだと答える。答えながら電車の扉の端に立つ。そうして椎名と向かい合ってそのうえで話をはじめる。扉が閉まり電車が出発した。
 出発のアナウンスを聞きながらだ。二人は話をしていた。窓の向こうはもうすっかり暗くなっている。その中で話をするのであった。
「赤自体が好きだから」
「それでなの」
「あんたも赤好きなの?」
 星華は椎名もそうではないかと尋ねた。
「やっぱり」
「好きなことは好き」
 こう答える椎名だった。
「けれど赤いマフラーはこれだけしかない」
「一つしかないの」
「どっちかっていうと白のマフラーが好きだから」
「白?」
「そう、白」
 その色だというのである。
「そっちの方が好きなの」
「赤も似合うのに」
「けれど好きだから」
 この返答は変わらないのだった。
「それでなの」
「それで今は赤なの」
「何となく。これにしたかったから」
「ふうん。私はマフラーは赤しかないけれどね」
「好きだから」
「そう、赤いマフラー好きなの」
 星華は笑顔で椎名にこう話した。
「ほら、昔から歌であるじゃない」
「赤いマフラーね」
「仮面ライダーとか。サイボーグ009とかがしてたし」
 星華はここで特撮やアニメの話を出すのだった。
「子供の頃。そういうの観てきたから」
「成程、それでなの」
「おかしいかな、これって」
「別に」
 そうではないと。椎名はそれは否定した。
「そういうことは誰にもあるから」
「それでなの」
「私も実は」
「白いマフラーが好きなのもやっぱり」
「私の場合はお母さんがしてたから」
 それでだというのである。
 
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