八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十四話 二学期その七
「そうなったよ」
「それでも奥さんはなんだ」
「やっぱり情があるんだろうな」
「夫婦だからだね」
「それがあるからな」
それでというのだ。
「お見舞いに行きたいらしいけれどな」
「君のお父さんが止めてるんだ」
「あんな奴の見舞いなんかってな」
行く必要がないとだ。
「そう言ってな」
「そこまで酷い人だからだね」
「借金のこともな」
「それもなんだ」
「馬鹿叔父一人に責任がいくようにしたんだよ」
「そうだったんだ」
「何百万かあるけれどな」
それだけの額だというのだ、借金は。
「大体な」
「多いね、やっぱり」
「ああ、しかしな」
「その借金もなんだ」
「馬鹿叔父にいくようにしたんだよ」
「残された家族の人達にはならない様に」
「どうしてそうしたかまでは知らないぜ」
池田君にしてもだ。
「けれどな」
「それでもだね」
「借金のこともそうなったしな」
「もう誰にも害は及ばさないんだね」
「これまで散々そうしてきたらしいけれどな」
それは聞いていてわかることだった、飲む打つ買う暴力に働かない借金まであるとそこまで揃っているとだ。
「もうな」
「死んでだね」
「親父も清々するって言ってるよ」
「ご兄弟でも嫌ってるんだね」
「大嫌いだってな」
それこそというのだ。
「いつも言ってるぜ」
「そうなんだね」
「うん、本当にな」
それこそという返事だった。
「嫌ってるな」
「心の底から」
「色々あったみたいだからな、親父も」
「さっき甘やかされたって言ってたよね」
「僕の祖父ちゃんと祖母ちゃんからな」
「それでなんだ」
「どうしようもなくなったんだよ」
甘やかしたせいでというのだ。
「それも徹底的に甘やかしてたな」
「見ていて」
「ああ、それだよ」
それこそというのだ。
「僕が見てもな」
「君が見てもって」
「特に祖母ちゃんがな」
この人がというのだ。
「うちに来たらもういつも傍にべったりで」
「その人もういい歳でも?」
「四十過ぎててもね」
「いつも傍にべったりで」
「甘やかして親父にも面倒を見てやれって言ってたんだよ」
「それ気銛悪いよ」
僕はそこまで聞いて思わずこう池田君に言った。
「四十過ぎた人にいつもべったりって」
「うちに来たらね」
「どうせお金せびりに来てるんだよね」
「祖母ちゃんにね、それでだよ」
「そのお金でまた遊ぶ」
「だから親父は祖母ちゃんが何言っても聞かなかったよ」
その叔父さんの面倒を見ろとだ。
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