空に星が輝く様に
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484部分:第三十八話 明るい運命その五
第三十八話 明るい運命その五
「それがあるから」
「これまで以上にって」
「それは愛情」
そのものずばりといった口調の椎名だった。
「それがこれまで以上にあるから」
「あの、それは」
「そう、だからこれまでとは全然違う」
そうだというのである。
「そういうこと」
「何か暑いよなあ」
「全く」
狭山と津島は椎名の指摘からわざとおどけてこう言ってみせた。
「おかげでこっちもなあ」
「影響受けちゃうじゃない」
「影響って何だよ」
陽太郎はすぐに二人に突っ込みを入れた。
「それはよ」
「だからよ。俺達だってな」
「そうよ」
こうだ。二人は返すのだった。
「愛情ってやつをな」
「今まで以上にね」
「というか嫉妬する」
椎名はぽつりとした口調で言ってきた。
「熱々過ぎて」
「あのな、俺達は別に」
「そうよ。今までと全然変わらないから」
「自覚がないけれどそうだから」
また指摘する椎名だった。
「そういうことだから」
「ううん、何か」
「そう言われたら」
「けれどいいこと」
しかしだった。椎名はそんな二人を肯定するのだった。
「とても」
「いいのか?」
「それで」
「幸せは他の人が見てもとてもいいものだから」
「だから俺達もなんだよ」
「そうなのよ」
狭山と津島はここでは暖かい笑顔になって話した。
「負けていられないってな」
「もっと幸せにってね」
「僕もそう思う」
そして赤瀬もであった。
「人の幸せを見ていたら自分も頑張ってそうなろうって思うもの」
「それがいいこと」
椎名はそしてだ。こうも言った。
「ただ。それが逆になれば」
「よくないんだな」
「そうなのね」
「そう。それは嫉妬」
それこそがだとだ。椎名は陽太郎と月美にも話した。
「それはよくない」
「じゃあ妬むのじゃなくてか」
「素直に自分もそうなりたいって頑張ることがいいのね」
「そういうこと。嫉妬に取り憑かれたら」
どうなるか。椎名はそれもわかっていた。だからこその言葉だった。
「醜くなる」
「醜くなる」
「それじゃあ」
「そう、絶対に駄目」
また言ったのだった。
「それだけは」
「だよな。それだけは」
「絶対に」
「そう。あってはならないこと」
「妬むより自分が、なんだな」
「幸せになればいいのね」
二人もそれがよくわかった。実にだ。
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