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480部分:第三十八話 明るい運命その一
第三十八話 明るい運命その一
第三十八話 明るい運命
陽太郎は月美の家の夕食に席を共にすることになった。ここでだ。
厳しい顔だが優しい目の中年の男性、月美の父がこう彼に話してきた。
「陽太郎君、お家には連絡しているね」
「はい、もう」
確かな顔で答え陽太郎だった。
「メールしておきました」
「晩御飯はこちらでということをだね」
「はい、しておきました」
実際にそうだという陽太郎だった。
「それはもう」
「そうか。ならいいな」
「そうね」
月美の母もそれに頷く。
「それならね」
「今夜はゆっくりできるな」
「いえ、ゆっくりなんて」
「いやいや、ゆっくりしてもらわないと」
「そうよ」
父だけでなく母も彼に言うのだった。
「それはちゃんとね」
「食べてもらわないと」
「だからですか」
「そう。だからだよ」
「遠慮する必要はないから」
「そうだよ」
月美の妹の真奈美もいた。彼女も陽太郎に言うのだった。
「お兄ちゃんゆっくりしていってね」
「真奈美ちゃんもそう言うんだ」
「だって。お兄ちゃんの姉ちゃんのお婿さんじゃない」
真奈美はここでとんでもないことを言った。
「だからね」
「ちょっと、真奈美」
月美は困った顔で妹の今の言葉を注意した。
「何言ってるのよ」
「えっ、けどそうじゃないの?」
「違うわよ、そんなことないわ」
彼女はこう言うのだった。
「そんな。私と陽太郎君は」
「まあ落ち着いてな」
「そう。静かにね」
両親が二人の間に入った。
「今は食事中だぞ」
「お喋りはいいけれど喧嘩は駄目よ」
「え、ええ」
「わかったよ。お父さんお母さん」
姉妹はそれぞれ両親の言葉に頷いた。そうしてだった。
一家は陽太郎を交えて食事をする。その和食をだ。その中で父はまた陽太郎に問うのであった。
「味はどうかな」
「はい、凄く美味しいです」
畏まって食べているがそれでも味わっている陽太郎だった。実際にこう答えることができた。
「お刺身もお野菜も」
「吸い物はどうかな」
「それもいいですね」
飲んでみてだ。実際にその味に舌鼓を打っていた。
「こんなに美味しいなんて」
「ははは、気に入ってもらったみたいだな」
「このお料理はね」
母も言ってきたのだった。
「これからはね」
「これからは?」
「よかったら何時でも食べに来ていいのよ」
こう彼に言うのだった。
「何時でもね」
「今はまだはっきり言えないが」
父もだ。彼に言うのだった。
「君が大学を卒業したら。随分先の話だが」
「大学ですか」
「そして就職したらどうかな」
「月美とね」
二人で彼に話すのだった。
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