八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百六十四話 二学期その三
「身体壊すか」
「どっちかでか」
「終わるよ」
「そうなるんだな」
「特に身体がね」
そちらが問題だと思う、本当に。
「壊れるよ」
「いつも酒池肉林だとか」
「うん、絶対にね」
「そういえば酒池肉林ってあれだよな」
池田君は自分の夢だというこのこと自体についても述べた。
「酒の池、肉の林ってな」
「実際にお酒のお池を作ってね」
「木に肉吊るして果物みたいにして食ってたんだよな」
「それが元だよ」
封神演義にもある話だ、元々は暴君としてあまりにも有名な殷の紂王がやった宴会だったとのことだ。
「途方もない贅沢ってことでね」
「酒飲みまくって肉も食いまくってか」
「つまりあれだね」
僕はこの酒池肉林を現代に当てはめて言った。
「焼肉屋さんで食べ飲み放題だね」
「難波でそうしたお店よくあるな」
「そうだよね」
「そんな生活毎日してたらな」
「すぐに身体壊すね」
「確実にな」
お酒とお肉ばかりの生活なんてしたらそれこそどうなるかだ、もう言うまでも考えるまでもないことだ。
「そうなるな」
「だからね」
「酒池肉林でもか」
「親父運動もしてるし食べものも栄養バランス考えて食べてるから」
「だからか」
「健康だよ」
大きな病気もしたことがない、内臓も血も奇麗なものだという。
「煙草も吸わないしドラッグもしないし」
「真面目なところは真面目なんだな」
「特にお薬にはね」
そのドラッグだ。
「絶対に手を出さないし僕にも言ってるよ」
「絶対にするなってか」
「そうね」
「だからいいんだな」
「親父が言うには覚醒剤なんかしたら」
そのドラッグ、つまり麻薬の類の代表的なものだろう。よく裏社会の資金源になっていると聞いている。
「破滅するって」
「それよくよく言われるな」
「君もしないよね」
「あんな怖いのするか」
池田君は僕に怒ったみたいな顔で言ってきた。
「あんな怖いものないぞ」
「そんなに嫌ってるんだ」
「あんなのしたらいつも変なもの見たり聞いたりしてな」
覚醒剤特有の幻覚、幻聴の賞状だ。
「変なことしたりな、身体の筋肉が緩んで漏らしたりもしてな」
「そうもなるらしいね」
「骨だってボロボロになって歯も髪の毛もおかしくなってな」
覚醒剤は一度やると一週間は寝なくて済む位にその名前通り身体が覚醒するという、しかしそれは食べたりしての栄養摂取じゃない、身体のエネルギーを無理に引き出して燃やしているだけだ。そんなエネルギーの使い方をすると身体もそうなる。
「心も身体もな」
「ボロボロになって」
「それで廃人になって死ぬんだぞ」
「中毒になると早死にするっていうね」
「そうだよ、本当にボロボロになってな」
池田君はボロボロという言葉を強調していた。
「死ぬんだからな」
「絶対にしたらいけないよね」
「僕の知ってる人でいたんだよ」
「覚醒剤やってた人いたんだ」
「その人今は止めてるけれどな」
池田君はこう前置きもした。
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