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エアツェルング・フォン・ザイン

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そのさんじゅうろく

「よーっす霊夢!魔理沙!きたぞー!」

鳥居を潜るが、境内には魔理沙しかいない。

「ザイン…お前…百鬼夜行でもやるのか?
霊夢にぶっ飛ばされるぜ?」

紅魔組とバカルテット+保護者を連れてきたからな…

「いやいや、そんな物騒な事はしないよ。
ところで、霊夢は?」

「中で料理作ってるぜ」

「っはー…アイツ料理できたのか…」

「ああ、藍が手伝ってる最中だ」

「ほう、八雲一家も来るのか…」

これはいい、話を通しておこう。

あ、そうだ…

「なぁなぁ、魔理沙」

「なんだ?」

「面白い計画があるんだけどさ、乗らない?」

「内容によるな」

「ちょっとした悪戯だよ。その時、霊夢の足止めを頼みたい」

「いいぜ、面白そうじゃん。
でも、計画を聞かせて欲しいぜ」

「ああ、その計画は……」





魔理沙への協力を取り付け、次は紫に異変を起こす許可を取る。

玉藻をスカーレット姉妹に預け、敷地内を探していると、神社と霊夢の家の間に紫を見つけた。

「紫。異変起こしていい?」

「良いわよ。貴方の計画には直接的な危険性は無いもの」

「やっぱり聞いてたのか…」

「ええ、勿論よ」

「BBAなのに耳がいいんだな」

「私が直々に異変を解決してもいいのよ?」

「やめてくださいしんでしまいます」

まぁ、BBAとはいえ、俺とそう身長はかわらないんだけどな。

「ふふ…確かに五月まで何も無いものねぇ…」

「メタいぞ、紫」

「貴方が言うのかしら?
ところで、異変なんて起こしていいの?
貴方一応寺子屋の教師でしょう?」

「慧音の頭突きなら受ける覚悟は出来てる」

「例の蓬莱人に燃やされるわよ?」

「大丈夫。次の満月は一月中旬だから」

「あぁ、貴方は満月で復活するのね」

「そうそう」

先日確かめた。

アリスに手伝ってもらい、月光を遮断。

その上で俺の首を跳ねてもらい、エンドフレイムの状態へ。

そして遮断していた月光をエンドフレイムに当てた。

結果は成功。

復活エフェクトと同時に肉体が再構築された。

「んじゃ俺もなんか作って来るよ。
台所はどこ?」

次いでに八雲藍さんに玉藻の件でお礼を言おう。

「居間から三つ目の部屋よ。
若しくは裏口から入りなさい」

「ほいほーい」

霊夢の家の周りをぐるっと回ると、裏口を見つけた。

「霊夢、邪魔するぞ」

中には霊夢しか居なかった。

八雲藍さんはいないのだろうか。

「邪魔するなら帰れ」

「いや俺も一品拵えようかと」

「あっそ。好きになさい」

「んじゃ好きにさせて貰うぜ」

ストレージから魚を取りだし、捌こうとした時…

「霊夢、戻ったぞ」

スキマが開いた。

「あら、戻ったのね藍」

彼女は八雲藍。

八雲紫の式で、この幻想郷でもトップクラスの実力者だ。

「こんにちは八雲藍さん」

手を止め、挨拶をする。

「こんにちは。初めて見る顔だな」

「お初にお目にかかります。私はザインといいます。
先日は私の式が大変お世話になりました」

「ザイン…あぁ、玉藻の主か?」

「はい」

「きにする事ではないさ」

「ちょっと二人とも何の話よ?」

「この前玉藻が世話になったんだよ」

「あぁ、あの九尾ね」

「そういう事だ。ほら材料を買ってきたのだからさっさと作るぞ」

「わかってるわよ」

その後、霊夢や藍さんを手伝ったり俺自身も料理を作ったりと、大忙しだった。

そうして、夕暮れを迎えた。

神社の一室にテーブルを出し、料理を並べていく。

「おーいガキども酒が飲みたきゃ手伝えー」

「わかったのだー」

「あ、摘まみ食いしたらお仕置きね」

「やらしーおしおきなのかー?」

「望むならするけど?」

嘘ですそんな度胸はありません。

「変態なのかー?」

「お前がそう思うんならそうなんだろうな。
お前の中ではな」

「ムカつくのだー」

「はいはい。なら手伝え」

「わかったのだー」

しかしルーミアは俺の耳元へ口を寄せ…

「調子乗るんじゃないわよ?」

ボソッと言ってバカルテットを追った。

………………

「チビるかとおもった…」

いやまぁ、排泄とかしないけどね。

トイレいえばいつぞやアリスに『トイレどうしてんの?』と聞いたら『全て魔力に変換してるからしない』と言われたので『80年代のアイドルかよwww』と言ったら怒られた。

何度も往復して、料理を運ぶ。

「おーい、ガキ共ー。料理出揃ったから残りの面子よんでこーい」

バカルテットをこきつかって宴会に参加するメンバーを呼ぶ。

ぞろぞろと参加者が入ってくる。

「おぉ!旨そうだな!」

「魔理沙、お前はもう少し女の子らしくしたらどうだ?
そんなんじゃ香霖堂の店主を落とせんぞ」

「なんつーか霖乃助は恋愛対象にみれないんだよなぁ…」

「なん…だと…」

魔理沙って霖乃助の事好きなんじゃねぇの?

「つか、ザインって霖乃助の事知ってたんだな」

「会ったことはないが話には聞いてる」

「で、どこに座ればいいんだ?」

「適当にすわれ」

長テーブルを繋げ、その両脇に座布団を並べてある。

「炬燵じゃないのか…」

「こんなでかい炬燵があるかよ」

まぁでも確かに少し寒いか…

「ジェネレート・サーマルエレメント」

熱素を生成して部屋に浮かべる。

外はもう暗く、月も出ていないが、幻想郷は基本的に自然が多いので空間リソースも尽きない。

「お兄様、これなぁに?」

「それは熱素って言ってな、焔の力を凝縮した珠だ」

「お兄様の弾幕?」

「そうそう。熱素は瞬間的に生成するのが簡単だからな」

その反面維持が難しい。

逆に凍素や鋼素は瞬間的な生成が少し難しいが維持は容易だ。

「ザイン、これは妖術か?」

「あ、藍さん」

藍さんが熱素をまじまじと見ていた。

「ふむ…見たところ我々とは別の体系の術だな…
属性を持たない純粋な熱エネルギーの塊か…
属性エネルギーを変換している様子もない…
しかしそれではエントロピー増大の法則が…
いや、これは一度生成すれば後は放出するだけか…」

「わぁ!尻尾もふもふだ!」

フランが尻尾をモフるのもお構い無しに藍さんが考察を続ける。

「お兄様!もふもふだよ!」

「後が怖いからやめとく。
藍さん、ほら、席についてください始まりますよ」

「む、すまん。どうも性分でな」

「ならしゃーなし」

藍さんも座り、ほとんどの奴が席についた。

「お兄様はこっち」

と紅魔組の方へつれていかれ、フランの隣に腰を下ろす。

玉藻はアリスの方へ行っている。

「全員座ったわね?」

と霊夢が確認を取った。

「じゃ、長ったらしい挨拶はぬきにするわ。
あんた等がさっさとくたばる事を祈って、乾杯!」

すぐに全員が乾杯と唱和した。

それでいいのかお前ら。

酒がのめればいいのか…

ともかく突っ込み所しかない掛け声で宴会がはじまった。
 
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