夢幻水滸伝
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第六十二話 東国平定その二
「あたしは喧嘩では負けたことがないんだよ」
「それは凄いことだ、しかしな」
「今やってるのは戦だからね」
「喧嘩と戦は違う、そしてだ」
日毬は玲子の横薙ぎの朱槍の攻撃を牛若丸の様に跳んでかわしてからこうも言った。
「これは真剣勝負だ」
「喧嘩とは全く違うね」
「そのことを言っておく、そして私は喧嘩はしないが勝負はしてだ」
「その勝負ではだね」
「真剣を持って敗れたことはない」
その真剣、神器であるそれを手にして使ったうえでの言葉だ。
「そのことを言っておく」
「それはわかるよ、先輩の気からね」
玲子は日毬の首を狙った突きを身体を少し捻ってかわしてから答えた。
「随分なものだから」
「それでか」
「ああ、あたしが一対一で戦った中で一番強いね」
そこまでの域に達しているというのだ。
「実際に。しかしね」
「負けないか」
「あたしの首安くないよ」
「それはわかっている、だがその高い首をだ」
まさにとだ、日毬は今も攻撃を繰り出しつつ玲子に言った。
「貰う」
「そうかい、けれどこっちも同じ考えだからね」
両者は激しい一騎打ちを続けていた、それは三体共同じで玲子は劣勢な確かだがそれでも怯まず戦っていた。
それは他の面々も同じで幸田は室生と闘いつつ彼に言った。
「前に通りたいんだがな」
「それはわかる、しかしだ」
「そうはいかないよな」
「前に進みたいならだ」
そして再び綾乃に攻撃を仕掛けたいならというのだ。
「私を倒していくことだ」
「そうなるよな、やっぱり」
「わかっていないとは思わないが」
「わかっていてなんだよ」
幸田は笑ってそうして室生に言った。
「それでなんだよ」
「言っているな」
「そうなんだよ」
まさにというのだ。
「おいら達にも都合があるからな」
「しかし我々にも都合がある」
「綾乃ちゃんを守るっていう都合がか」
「ここで貴殿達が姫巫女殿を破れないならだ」
それならばというのだ。
「貴殿達の敗北だ」
「ああ、綾乃ちゃんを倒すとな」
「それは逆になるがな」
「だからって思ってるんだがな」
「前に進みたいな」
「ああ、しかしだな」
「そうはさせない」
あくまでと言う室生だった。
「貴殿等は通さない、そしてだ」
「ここで退けるんだな」
「そうする」
断固という返事だった。
「そして我々が勝つ」
「やれやれだな、しかしあんた相変わらず強いな」
幸田は虎徹の剣撃を縦横に繰り出す、右手に持ってそこから繰り出すものはかなりのものだ。しかしだった。
室生はその虎徹の攻撃を己の神器である建御雷で受けている、その守りは固くそれで彼に対して言うのだった。
「おいらの攻撃を寄せ付けないな」
「いや、貴殿には一対一では勝てない」
室生は攻撃を受けつつ攻撃をしている幸田に返した。
「私はな」
「だからか」
「そうだ、私ではな」
勝てないというのだ。
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