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レーヴァティン

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第六十六話 自分達の船その十

「まずは金と食いものだ」
「その二つでござるな」
「それからだ、そしてこの二つがないとな」
 それこそというのだ。
「何も出来ない」
「それこそ何も」
「だから銭もな」
「多いに越したことはないでござるな」
「いいことだ、ではその二万両は収めてな」
 自分達がだ、言うまでもなく。
「そしてだ」
「使うべき時に使う」
「今後な」
「そうするでござるな」
「金はそうしたものだ、それでだが」
 英雄は今度はこう言った。
「遊ぶことにもだ」
「使うでござるか」
「この志摩でもそうだったしな」
 英雄はこの志摩でも遊郭に入っていた、そこで美女達をまとめて相手にしていたのだ。英雄はここでも色豪だったのだ。
「遊ぶことにも使いはする」
「それも必要でござるか」
「俺にとってはな」
「ううむ、そして遊ぶ為にもでござるか」
「銭は稼ぐ、ただ遊ぶ銭なぞな」
 所詮はという口調でだ、英雄は述べた。
「今の俺達にとっては何でもないな」
「十万両あるでござるからな」
「それならだ」
「遊ぶことについては」
「特に思わない、しかし志摩の女達もよかった」
「達もっちゃ」
「毎晩四人か五人ずつ相手にしていた」
 英雄は愛実が女だがそれでも隠すことなく話した。
「志摩でもな」
「お盛んっちゃな」
「駄目か」
「いや、他人の趣味には関わないっちゃ」
 愛実は英雄の女好きぶりはいいとした。
「別にうちに何もしないっちゃしな」
「仲間に手を出すことはしない」
「仲間は仲間っちゃな」
「そちらも遊べばいい」
 遊びたければとだ、英雄は愛実にこう返した。
「好きにな、しかしな」
「英雄さんは英雄さんでっちゃか」
「遊んでいるだけれだ」
「そうっちゃな」
「夜もな、しかしな」
「しかし。何っちゃ」
「今の俺達にはそうした遊ぶ金もだ」
 普通なら結構なものになるがそれもというのだ。
「どうということはない、だからこれはだ」
「必要と言ってもっちゃ」
「浪費にも考えていない、しかし」
「しかしっちゃ」
「二万両も必要な時に必要なだけ使う」
 このことは絶対だというのだ。
「旗揚げをしたなら十万両以上あってもな」
「政は何かとお金がかかりますから」
 紅葉が言ってきた。
「ですから」
「無駄に使っているとな」
「その時に困りますね」
「政は金だ」
 英雄はこの厳然たる現実を指摘した。
「金がないとまさにな」
「何も出来ませんから」
「冒険とは違う、冒険は武器を持ってだ」
 そうしてというのだ。 
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