空に星が輝く様に
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399部分:第三十話 光と影その四
第三十話 光と影その四
「それじゃあさ」
「じゃあスタープラチナね」
「そこにしようか。ただしな」
「ただし?」
「お任せメニューは止めた方がいいな」
狭山はここでこんなことを言うのだった。
「あれはな」
「ああ、スタープラチナ名物のあれね」
「飲んでると時々その飲んでるのに全然合わないのが出て来るんだよな」
狭山はアンパンを食べ終えた。そして今度はチョコパンを食べながら話すのだった。
「例えば日本酒飲んでるのにサンドイッチとかな」
「ああ、それ私もあったわ」
「だろ?他にもな」
「ワインの時にカレーとか」
「ビールの時にポッキーとかな」
そういうものが出て来るというのである。
「そういうのだからな。ちょっとな」
「頼みたくないのね」
「ああ、あれ何でなんだ?」
怪訝な顔になってだ。津島に問う彼だった。津島はハムサンドを食べている最中だ。見れば他には野菜サンドや卵サンドもある。
「何であそこまで合わない組み合わせが出るんだ?」
「その時のあの娘の機嫌次第なのよ、あれって」
「あのベイスターズ狂いのあの娘のかよ」
「そう。あの娘お店をやってる家の娘さんでね」
津島はこのことも知っていたのだった。
「あそこのお店にいるのよ」
「ああ、そうだったのかよ。バイトの娘じゃなかったのか」
「そうよ。お家の娘さんなの」
狭山にそれだと話すのだった。
「実はね」
「それであそこまでカウンターをベイスターズまみれにできたのか」
「そういうこと。あそこのビルってカラオケの他に居酒屋とゲームセンターもやってるじゃない」
「あそこのビル自体がか」
「あそこのお家のものなの」
「そうだったのかよ」
「それでなのよね」
津島はその娘のことをさらに話していく。
「ああしてね。いつもカウンターにいて」
「料理も作ってるのか」
「そうなの。それで」
「それで?」
「ベイスターズが負けたり何かがあったら」
どうなるか。そのことをさらに話すのだった。
「ああなるのよ」
「お任せメニューがおかしくなるのかよ」
「逆にベイスターズが勝ったり何かいいことがあったら」
「いいメニューが出て来るんだ」
「そういうのだけれどね」
「じゃあ止めておくか」
狭山は津島の話をそこまで聞いてだ。すぐにこう言ったのだった。
「それじゃあな」
「止めておくの」
「だってよ。ベイスターズだろ」
「ええ、そうよ」
「じゃあ止めておくよ」
また言う狭山だった。
「あそこって負けたり悪いことがある方がずっと多いからな」
「よくもまああそこまでって感じでね」
「親会社に問題があるんじゃねえのか?」
狭山が指摘するのはそこだった。
「あの親会社によ」
「巨人と同じだしね。マスコミだから」
「だから問題あるんじゃないのか?」
「そうかもね。巨人だってあれだしな」
「だよな。それだったらな」
「それだからな」
また話す狭山だった。
「ああやってな。トラブル続きなんだろうな」
「難儀な話よね」
「全くだぜ。だからあのメニューはな」
話が戻った。カラオケの方にだ。
「止めておいた方がいいだろ」
「二百円で安いしたまに凄いメニューが出るわよ」
「とんでもないのが出る方が可能性あるだろ」
「それはそうだけれどね」
これは否定できなかった。事実を知っていて嘘吐きでもない限りはだ。津島は少なくとも嘘を吐いたりするような人間ではなかった。
「確かにね」
「二百円で地雷買うこともないだろ」
また言う狭山だった。
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