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八条学園騒動記

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第四百七十七話 古代の黄金その十

「それじゃあね」
「殺されたのは天罰で」
「エル=ドラドに辿り着けなかったことも」
「神様がそうさせたかもね」
「そうかも知れないね」
 二人でこうしたことを話した、そしてだった。
 ローリーからだ、ベッカに言った。
「もうそろそろ閉館だよね」
「あっ、もうね」
「それじゃあね」
「もうここ出る?」
「そうする?」
 こう提案するのだった。
「もうね」
「ううん、ぎりぎりまで観ていない?」
 ベッカはローリーの提案に考える顔になってこう返した。
「どうせなら」
「最後の最後までなんだ」
「うん、観ていない?」
 博物館にある展示物をというのだ、二人共今はピラミッドの中とは別の中南米の展示コーナーの中にいる。
「観ていて面白いし」
「だからぎりぎりまでなんだ」
「観ていない?」 
 ベッカはこうローリーに提案した。
「そうしない?」
「じゃあ閉館の音楽が鳴るまで」
「それから帰ってもよくない?」
「そうだね、そう言われるとね」 
 ローリーもベッカに否定せずに返した。
「それも悪くないね」
「そうだね、じゃあね」
「あと少しで音楽はじまると思うけれど」
「それまでね」
 そのあと少しの間でもというのだ。
「観ていて」
「それで帰ろう」
「それじゃあね」
 ベッカはローリーに笑顔で述べた、それで古代インカ帝国の黄金の装飾品やそうしたものを観続けた。
 そうしてだ、ローリーにこうしたことを言った。
「太陽が多いよね」
「それのモチーフがね」
「太陽信仰強かったんだね」
「中南米全体がそうだね」
「そうだね、まあ太陽は何処でも大事だけれど」
 各国の神話や信仰でというのだ。
「中南米でもそうなんだね」
「うん、やっぱり太陽がないとね」
 ローリーはベッカにこう話した。
「あらゆるものが育たないしね」
「生きていけないから」
「だからだよ」
「昔から信仰されてるんだね」
「そうなんだよね」
 そうなるというのだ。
「これがね」
「そういうことだね」
「うん、ただね」
 ここでこうも言ったローリーだった。
「イスラムでは太陽よりもね」
「ああ、お月様の方がね」
「いいって思われてるから」
「そうだったね」
「サハラでもね」
 イスラム教がその根幹にあるこの地域ではというのだ。
「もうお月様、衛星の方がね」
「太陽、恒星よりも愛されてるんだね」
「信仰の対象はアッラーだけだけれど」
 だから信仰の対象ではないのだ。
「三日月はムハンマドの象徴でもね」
「信仰はアッラーに対してのみで」
「月もアッラーの力の一部だからね」
「信仰じゃないんだ」
「そう、それで親しまれてるんだけれど」
 この言葉が当てはまるというのだ、こうしたことも宗教によって実に様々な事例であると言っていい。 
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