レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十五話 志摩の海賊その七
「俺もそしてだ」
「そこにいる他の者達もか」
「働く」
世界を救ってからもというのだ。
「まだこの世界の脅威が消え去っていないならな」
「戦ってそしてか」
「治める」
この島をというのだ。
「俺達がこの島から消える時までな」
「そうした考えか」
「そうだ、ではいいな」
「いいか」
「その言葉、心意気受け取った」
男はまだ英雄と彼の仲間達に背を向けている、だがそれでもだった。
英雄に対して言った、そうして言うのだった。
「ならば我もだ」
「あんたもか」
「その中に入らせてもらう」
「俺達の仲間になるか」
「如何にも」
その通りという返事だった。
「そうさせてもらう」
「そうか、ではだ」
「我の顔をだな」
「見せてもらう」
英雄は男に告げた。
「いいか」
「ではな」
ここでだった、男は。
釣りを中断してすくっと立ちあがった、するとその背は高かった。一八〇は優に超えていて体格右派痩せているが実によく引き締まっている。
薄い生地の服は実に動きやすそうだ、そしてその編み笠を上げると。
細面で鋭い目をしていた、唇は薄く鼻は高い。眉は細く長い。その彼が自ら名乗った。
「橋田幸正、海賊だ」
「海賊か、やはりな」
「こちらの世界ではな、そして起きた時はだ」
そちらの世界のこともだ、幸正は話した。
「水産学部の二回生だ」
「そこにいるか」
「そうだ」
その通りだというのだ。
「我はな」
「そうか、ではな」
「それではだな」
「これから宜しく頼む」
是非にと言うのだった。
「海賊として戦わせてもらう」
「ではな」
「趣味は漫才だ」
「漫才か」
「落語もギャグ漫画も好きだ」
そうしたものがというのだ。
「お笑いがな」
「そうなのか」
「そうは見えないか」
「ああ、どうもな」
「しかし好きだ」
そう見えずともというのだ。
「我はな」
「そうか、そしてこれからだな」
「共に行かせてもらう、水のことならだ」
「海賊だからだな」
「絶対の自信がある、丘の上でもだ」
その場所においてもとだ、幸正は英雄に話した。
「戦える」
「そうか、ではな」
「共に行かせてもらう」
「何よりだ、実はだ」
英雄は幸正を迎えたことから彼自身にさらに話した。
「あんたを仲間にするにあたって、誰でもだがな」
「何かあることはか」
「覚悟していた、こちらは絶対に仲間にしなくてはいけない」
このことは絶対だとだ、英雄は幸正にこのことも話した。
ページ上へ戻る