戦国異伝供書
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第五話 岐阜の城からその二
「そしてじゃ」
「治めていかれますな」
「そうする、しかし寺社はな」
本願寺をはじめとした彼等のことも話すのだった。
「何とかせねばな」
「今は荘園を検地を行なって公の土地としていますが」
村井が言ってきた。
「地侍もそれによって取り込むと共に」
「当家の土地にな」
「しかし寺社、特に本願寺はです」
「信者自体が問題じゃ」
「はい、その数が」
「その数で一斉に蜂起されるとな」
「それだけで大乱となります」
村井は目と声を鋭くさせて信長に述べた。
「恐ろしいまでの」
「だからそうならぬ様にしてな」
「寺社、特に本願寺の勢力をですな」
「抑えてじゃ」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「天下を正しく治める様にしますか」
「織田家の統治の下に一つにしたい」
天下をというのだ。
「その為には何とかしたいが」
「そのことですが」
ここで雪斎が言った、桶狭間から織田家に入った旧今川家の家臣団の中で筆頭と言っていいかれが。他には徳川家や武田家にも今川家の家臣達は主家が滅んでから入っている。
「まずはです」
「よい考えがあるか」
「はい、寺社を治める奉行を置き」
「そしてか」
「天下の寺社勢力を治めるのです」
「当家の下でか」
「そしてです」
雪斎は信長にさらに話した。
「民達からだけでなく」
「寺社からもか」
「刀狩りを行い」
その武器を取り上げてというのだ。
「学問と神仏への信仰に専念させる」
「そうする様にさせていくか」
「そうすればどうでしょうか」
「そうか、そうすればか」
「天下の寺社も治められるかと」
「そうじゃな、しかしな」
信長は雪斎に話した。
「急いではならぬ」
「それはですな」
「徐々にじゃな」
「まずは力の弱い寺社からですな」
「それをじゃ」
まさにというのだ。
「そうしていくぞ」
「寺社への検地と刀狩りも」
「そうして少しずつ大物に向けていくか」
「大和や都の寺社にも」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「さらにじゃ」
「興福寺にも行い」
大和の守護であったこの寺もというのだ。
「そしてな」
「延暦寺にですな」
「本願寺じゃ」
やはりこの寺だった。
「やはりな」
「あの寺がですな」
「第一の厄介じゃ」
それになるというのだ。
「あの寺は最後じゃ」
「最後にどうにかすべき相手じゃ」
「左様ですな」
「あの寺を何とかするのは最後にしてな」
「小さな寺社からですな」
「抑えていこう」
「寺社奉行を置き」
「そうする、その話は進めていこう」
こう雪斎に答えた、そしてだった。
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