世界に痛みを(嘘) ー修正中ー
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格の差
半壊したメリー号の修復作業が進む。
猿山連合軍が総出で船の修復に取り組み、木槌の音が鳴り響く。
「それにしても、大丈夫かしら……」
「アキト達が心配なのか、ナミ?」
ウソップが怪訝な様子のナミに問い掛ける。
「いえ、逆よ。私が心配しているのはべラミー達の方よ」
アキトに半殺しにされてないだろうか。
あの状態のアキトを相手にするとはべラミー達も運がない。
「それはどういう意味だ、嬢ちゃん?」
「そう言えば皆はまだ見たことが無かったわね」
アキトが心から怒りを抱き、敵を殲滅する姿を
あの状態のアキトを相手にする敵には心底同情する。
「アキトは一度、敵と捉えた相手には一切の容赦を与えないのよ。それも敵が哀れに思える程に……」
今でも鮮明に記憶に焼き付いている。
血しぶきが飛び、骨が砕け、へし折れるネズミ大佐とその部下達の姿を
「まあ、アキトならやりかねないだろうな」
「そ、そんなに怖いのか、あの状態のアキトって……」
「わ、分からねェ……。俺も見たことねェし……」
ウソップとチョッパーは恐れおののく。
「アキトさん……」
ビビはただ一心にアキトの身を心配する。
勿論、アキトが負けることなど考えていなかったが
「なら今、べラミーの一味は血の海に沈んでいる頃かしら」
「怖ェよ、ロビン!?」
ウソップの絶叫が響く。
ロビンは心なしか愉しそうだ。
だが、ナミの予想は的中する。
一切の慈悲を捨て、敵を殲滅することを決意したアキトはべラミー一味を蹂躙していた。
ルフィがべラミーと交戦する。
地上ではアキトがサーキースとその取り巻き達と遭対していた。
「雑魚が、俺が息の根を止めてやる!」
ククリ刀を抜刀し、サーキースが跳躍する。
"大刃撃"、マシラを切り裂き、瀕死の重傷へと追い込んだ技だ。
だが、それはアキトにいとも簡単に止められる。
それも片手だけで
「何……だと……!?」
刀身が軋み、ひび割れ、ひしゃげていく。
アキトの指がククリ刀の刀身に減り込み、遂に刀身が無残にも砕け散った。
サーキースは刀身が消失し、柄だけとなった自身の刀を呆然と見下ろすことしか出来ない。
人の夢を笑うことしか能がない愚図は黙っていろ
アキトは身体を回転し、呆然とし、現状の理解が追い付かないサーキースへと回し蹴りを叩き込んだ。
腹部が大きく陥没し、サーキースは血反吐をぶちまけながら蹴り飛ばされる。
サーキースは地面を何度もバウンドし、為す術無く転がり、遠方へと姿を消失させる。
「サーキース……!?」
「手前ェ!?」
サーキースの愛人、リリーの悲鳴を皮切りに、周囲の取り巻き達がアキトへと牙をむく。
銃を発砲し、刀を振り下ろし、拳を叩き付ける。
多勢に無勢、数の暴力がアキトへと迫る。
だが、響いたのはアキトの悲鳴ではなく、べラミー海賊団の悲鳴であった。
数秒後、アキトの周囲には凄惨たる光景が広がる。
ある者はその身に自身が放った無数の銃弾が被弾し、崩れ落ちる。
ある者は腕が有り得ない方向にへし折れ、悲鳴を上げている。
刀身が砕け、へし折れ、顔面が凹み、眼鏡が粉砕され、陥没する。
血が吹き荒れ、辺りが血の海へと化し、誰もが悲鳴を上げていた。
「あ、ああ……!?」
「腕が、俺の腕がァ……!?」
「痛ェ、痛ェよ……!」
終始、アキトはその場から一歩も動くことなく静観し、冷めた目でべラミー一味を見下ろしている。
驚くことにアキトは全くの無傷、怪我一つ負っていなかった。
「……!?」
途端、血反吐を吐くサーキースの身体が不可視の力で引き寄せられる。
身体の自由が効かず、何が起きているのか理解出来ない。
前方では掌を此方に向け、アキトがただ冷徹な瞳で見据えている。
その瞳にサーキースの姿など映っていない。
その紅き瞳に映っているのは純粋な怒りだけだ。
「あ、あああ……!?」
遂にサーキースが悲鳴を上げる。
圧倒的な実力を持つアキトの怖ろしさに決定的な挫折を味わい、完全に戦意を喪失する。
クリケットさんの痛み
アキトは引き寄せたサーキースに掌底を叩き込む。
腹部の骨が軋み、へし折れ、吐血し、サーキースは再び後方に吹き飛んでいく。
五臓六腑に染み渡る痛みだ。
続けて、アキトの姿が消失し、地面が陥没する。
無様に吹き飛び、地面と平行して跳ぶサーキースの背後へとアキトは回り込み、両手を地に付け、上空へと蹴り飛ばす。
背骨が軋み、サーキースは吐血し、無様に吹き飛んでいく。
マシラの恨み
ククリ刀がサーキースの手から離れ、落ちていく。
態勢を立て直したアキトは即座に上空へと跳躍し、宙に足場を作ることでサーキースを歓迎した。
ようこそ、此方のステージへ
ショウジョウの恨み
最後に、ショウジョウの恨みを乗せた肘打ちを叩き付け、途轍もない速度で地面へと叩き落とす。
クレーターが生じ、サーキースは地に深く沈没した。
既にサーキースに意識は無く、無様な顔を晒している。
残るは女性二人、金髪とピンク色の髪の女性だけだ。
既に彼女達、リリー、ミュレ以外にベラミー一味で立っているものはいない。
「─」
一歩、また一歩とアキトは足を進める。
アキトは地に伏した愚図を踏み付け、足場のサーキースを蹴り飛ばし、恐怖の余り腰が抜けているリリーとミュレのもとへと近付いていく。
「お、お願いします!どうか、命だけは……!」
「何でもしますから……!」
彼女達は無様な命乞いを始め、アキトに懇願する。
醜い、本当に醜い連中だ。
「あ、ああ……」
「な、何でもしますから、命だけは……」
アキトは身が竦み、涙を流す二人の首を掴み、軽々と持ち上げる。
足をふらつかせ、命乞いを始めた愚図をアキトは冷めた目で見詰めていた。
「金塊は何処だ?」
涙を流しながら彼女達は酒場を指差す。
この圧倒的不利な状況で嘘を付く理由はないだろう。
嘘ではないと確信したアキトは無造作にリリーとミュレの二人から手を放し、酒場へと足を進める。
ルフィとべラミーの戦闘も佳境に入る。
「"スプリング跳人"ー!!」
「何が"空島"!?何が"黄金郷"!?夢見る旧時代の遺物共が!」
ルフィの覇気が高まっていく。
「海賊の恥晒しが!400年前の先祖の嘘と共に溺死していろ!」
「パンチの打ち方を知ってるかって……?」
「あばよ、麦わらァ!!」
「オォ!!」
一撃
たったの拳の一振りでべラミーは地に沈む。
側頭部が陥没し、べラミーは格の差を味わい、敗北した。
「お疲れ、ルフィ」
「ん、そっちも終わったのか?」
「ああ、金塊も無事だ」
「じゃあ、帰るか」
ルフィとアキトは空へと跳躍する。
その場に残るは無残な敗北者、べラミー一味
他人の夢を嘲笑い、コケにした者の成れの果てである。
▽▲▽▲
メリー号の修復に精を出す猿山連合軍
クリケットさんは終始、貧乏揺すりを繰り返していた。
「おやっさん、さっきから貧乏揺すり半端ねェぞ……」
「心配してんだよ、あいつらのこと」
宙からルフィと共に金塊を奪還したアキトが降り立ち、帰還する。
二人とも怪我はなく、五体満足な様子だ。
「大丈夫だったか、小僧!?」
「おう、ワンパンだったぞ!」
ルフィの軽快な笑み
アキトも微笑している。
「ほら、ひし形のおっさん達の金塊だ」
「……すまねェな、小僧」
クリケットさんは金塊が詰め込まれた袋を掴み、感謝の言葉を述べる。
金塊を二度と手放さない様に強く握り締めている。
向こうではビビがアキトに詰め寄っていた。
「アキトさん、ご無事でしたか!?」
「ああ、大丈夫だ、ビビ」
ビビは五体満足のアキトに安心した様子を見せる。
どうもアラバスタ王国の一件以来、ビビは心配性だ。
「よし、それじゃ早速、空島へ出向だ!」
「いや、まだ早ェよ!」
「まだ、"突き上げる海流"まで2時間以上あるのよ、ルフィ」
べラミー一味の討伐に10分も要しておらず、メリー号の修復はまだ完了していない。
「良かった、いつものアキトだ……」
「いや、べラミー一味は血に沈んでるだろ、これは……」
普段のアキトの様子に安堵するチョッパーとウソップ
「その調子だと相手に手こずることもなかったようね」
「ああ、クソ雑魚ナメクジだったな」
「ふふ、そう、クソ雑魚ナメクジだったの」
「何、ロビンちゃんに汚い言葉を喋らせてんだ、アキト!」
憤るサンジ
やはりロビンはアキトとどこか波長が合っていた。
ルフィ達が空島に向け、出航するまであと数時間
後書き
アキトさんが静観し、底冷えする覇気を発している時は『血祭りにあげてやる』というメッセージです
皆さん、気を付けましょう
というかべラミー一味のあの女二人組の名前ってリリーとミュレっていうんですね
初めて知りました
アキトは主犯ならば女性であろうと容赦することはありませんが、明らかに非戦闘員であるリリーとミュレは見逃してあげました。慈悲ではなく、単に眼中になかっただけです。
また、ルフィが丁度べラミーをワンパンで沈め、金塊の在り処を探す必要もあり、偶然に偶然が重なり、彼女達は珍しく無傷で生還しただけです
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