レーヴァティン
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第六十三話 天津神の場所でその二
その最期にだ、巫女がいるという場所に来た。そこで伊勢の全てを取り仕切る大宮司に会ったのだった。
会ってすぐにだ、英雄は大宮司に自分達のことを話した。そのうえで巫女のことを聞いたのだった。
「こうした話を聞いたが」
「はい、実はです」
「その巫女はか」
「この世の者ではありません」
「俺達と同じだな」
「左様です」
まさにという返事だった。
「その通りであります」
「やはりそうか」
「そしてですか」
「この島ひいては世界を救う為にな」
まさにその為にというのだ。
「仲間に迎えたいが」
「それはです」
「本人に会ってか」
「そうされてです」
そのうえでというのだ。
「お決めになって下さい」
「そうか、しかしな」
「あの方がですね」
「俺達と共に行ってもいいのか」
英雄は大宮司に問うた。
「伊勢にとっても必要だと思うが」
「そのお力故にですね」
「そう思ったが」
「いえ、あの方は」
大宮司は英雄に神妙な顔で話した。
「外から来た方です」
「元から伊勢にいる者ではないからか」
「言うならば神の御使いです」
そうした者だからだというのだ。
「ですから」
「この社を出てもか」
「はい、外の世界からそれも違う世界から来られた方なので」
「俺達と同じくか」
「ですから」
それ故にというのだ。
「この伊勢の社を出られても。そして」
「この島を救うならか」
「世界もですね」
「そうなる、俺達はおそらくはな」
「下に広がる世界を覆う海を支配している魔神を倒す為」
「この島に呼ばれたのだからな」
「そのことは私も伊勢の他の者達もわかっています」
大宮司は英雄に答えた、七十過ぎと思われる高齢の顔立ちであるが姿勢はしっかりとしていて知的な顔立ちも穏やかなものだ。
「ですから」
「巫女が俺達と共に伊勢を出てもか」
「そのことを受け入れます」
「そうか」
「かぐや姫です」
大宮司は微笑んでこの童話を話に出してきた。
「このお話はおそらくですが」
「俺達も知っている」
英雄もはっきりと答えた。
「俺達の世界にもある」
「やはりそうですか」
「月の世界から来た姫君だな」
「竹の中に入っていた」
「そのままだな、別の世界から来た聖なる存在か」
「そう考えています」
こう英雄に答えた。
「是非」
「そうか」
「そうです、ですから」
「俺達と巫女が会ってか」
「お決め下さい」
こう英雄に話すのだった。
「是非」
「わかった、ではな」
「その様にされますか」
「最初からそのつもりで来たのだしな」
この伊勢にというのだ。
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