| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四百七十四話 敬虔ならばその十

「だからね」
「殆どの人を見て」
「それで香水を使うのよ」
「ううん、シビアだね」
「ええ、ただマルティって」
「匂う?」
「全然、無臭よ」
 気になる匂いは全くしないというのだ。
「何も匂わないわ」
「だといいけれどね」
「つまり香水使ってないよ」
「男の人だとオーデコロンだね」
「使ってないのね」
「うん、全然ね」
 マルティはカトリに答えた。
「使ってないよ」
「そうなのね」
「毎日お風呂に入って」
「それでなの」
「済ませてるよ」
 それだけだというのだ。
「他のことはね」
「一切なのね」
「してないよ」
 オーデコロンは使っていないというのだ。
「本当に石鹸とシャンプーだけだから」
「男の子は大体そうよね」
「うちのクラスでオーデコロン使ってる子は」
「いないわね」
「誰もいないね」
「お洒落でも」
 そうしたクラスメイトは多いがというのだ。
「それでもね」
「オーデコロンはね」
「使わないわね」
「体臭きつくないよね、皆」
「隣通ってもね」
 それでもというのだ。
「別によ」
「普通にお風呂入ってお洗濯したら」
「体臭はしないっていうの」
「そうしたものだって思っていたけれど」
「それはね」
「男の子だけだったんだ」
「何度も言うけれど女の子はね」
 カトリはあくまでこう話した。
「違うの」
「だから細心の注意を払ってるんだ」
「そうなの。お部屋だってね」 
 カトリはこちらの話もした。
「これだってね」
「匂うんだ」
「そうよ、匂うのよ」
 部屋もというのだ。
「ちょっと放置するとね」
「汚れるだけじゃなくて」
「匂いもきつくなるの、女子更衣室なんか」
「匂いきついんだ」
「もう恐ろしい匂いがするから。あんなところにね」
 眉を顰めさせてだ、カトリは言った。
「忍び込んで覗きとか盗撮とかね」
「しようとする人いるね」
「痴漢でね」
「けれどそれはなんだ」
「そうしたことする人の気がしてないわ」
 それこそという言葉だった。
「おトイレなんかもっとよ」
「変態さんだね」
「変態も変態よ」
 カトリはそうした輩のことを全否定で述べた。
「もうね」
「そんな匂いがきつい場所に行くとか」
「ないわよ」
「じゃあ本当になんだ」
「そう、物凄い匂いがする場所なのに」
 そうした場所に忍び込むなぞというのだ。
「それでいいもの観られる訳じゃないのに」
「女の子の着替えシーンとか下着姿とか」
「ああ、それね」
「そういうのを観たいんだよ」
 マルティはこのことはすぐにわかった、同性としてそうした行動を取る輩の心理を理解出来たのである。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧