空に星が輝く様に
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298部分:第二十二話 文化祭その三
第二十二話 文化祭その三
「阪神第一だけれど」
「そうか」
「その通り。私は野村さんと森さんを目指してる」
尊敬している対象についても話した。
「そういうことだから」
「美少女ゼネラルマネージャーか」
「その通り。頑張る」
最後にいつものブイサインを左手でしてだった。椎名も戦闘態勢に入った。喫茶店はすぐにだった。盛況となった。
「さあどうぞどうぞ」
「喫茶店はこっちですよ」
「いらっしゃい」
お客さん達を次々に迎え入れる。そのうえで注文を受けお茶やコーヒー、それにスイーツを出す。そうして接客を続けていくのであった。
最初から賑わい大忙しだった。狭山もだ。
店の奥で執事の服の上に黒いエプロンをしてだ。あくせくと料理を作っていた。
「おい、次なんだ?」
「チョコクレープだよ」
「二つな」
「ああ、わかった」
注文に応えてだ。彼は動いた。
素早くクレープの生地を焼いてそれを移動させて上にスライスしたバナナとチョコをかけてだ。そのうえで軽くラッピングをして出すのだった。
「あいよ」
「おう、じゃあな」
「今から出してくるな」
「次は何だ?」
作ったそのそばから次の注文を聞く。
「クレープか?アイスか?」
「ああ、ケーキだ」
「キャロットのな」
それだというのだ。
「それ切ってくれるか」
「三つな」
「ああ、わかった」
すぐに頷く狭山だった。
そしてそのケーキを切ってだ。出した。
「これだよな」
「ああ、それだよ」
「じゃあすぐに出すからな」
「頼んだぜ。しかしな」
狭山はここでだ。袖をたくしあげたその左手で額の汗をぬぐってだ。そのうえでたまたま奥に入って来た津島に対して言うのだった。
「今お客さん多いんだな」
「注文多いでしょ」
「多過ぎて困ってるんだけれどな」
「それがその証拠よ」
こう返す津島だった。彼女は黒をベースとして所々に白が入っているメイド服を着ている。エプロンにカチューシャも備わっている。それは白だ。
「多いわよ」
「ああ、やっぱりな」
「中には変なお客さんもいるけれどね」
「何だ?お尻でも触ろうとしてくるのか?」
「そうよ。そういうのもいるのよ」
その通りだというのである。
「それでそういうお客さんはね」
「容赦しねえんだな」
津島のその性格を知っての問いであった。
「やっぱりそうなんだな」
「そうよ。さっきもお盆で頭ぶっ叩いてやったわよ」
「まあ御前らしいな」
「そんなお客さんには容赦しないの」
実際にその手に持っているお盆を上から下に振っての言葉である。
「こうしてね」
「大変なんだな、そっちも」
「そうよ。もう修羅場よ」
まさにそれというのだ。そしてだ。
「で、オーダー来たわよ」
「おう、何だ?」
「バナナサンデーよ」
それだというのである。
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