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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百五十八話 夏の終わりその七

「出来ないわよ」
「それ出来る人って片手で懸垂も出来るんだろうね」
「片手で」
「そう、両手じゃなくてね」
 バスケ部のレギュラーでも懸垂が出来ないメンバーもいる、何でも元々腕力は弱く手そうしたことは苦手ということだ。
「片手で」
「それ出来たら」
 香織さんは自転車を漕ぎ続けつつ言った。
「私だったら夢よ」
「僕もだよ、あと大車輪もね」
「力だけじゃないわよね」
「運動神経も相当じゃないとね」
 もうそれこそだ、僕はそのバーベルのところに向かいながら香織さんに話した。
「出来るものじゃないよ」
「そうよね」
「僕出来ないから」
 正直夢だ、そんなことが出来たら。
「大車輪は」
「昔テレビで女のタレントさんが大車輪に挑戦するって」
「そんな企画あったんだ」
「そう聞いたけれど」
「それでそのタレントさん最後大車輪出来たの?」
「最後には出来たみたい」
「凄いね、あんなの一回でも出来たら」
 片手での懸垂以上にだ。
「体操選手みたいだよ」
「そう思うと体操選手って凄いわよね」
「そうだね、身体だって凄いしね」
 全身の筋肉がとても実用的に発達していてだ。
「バネもかなりね」
「どんどん跳んで大車輪もして」
「凄いものだよ、僕には夢みたいな世界だよ」
「私もよ、やっとゴールしたけれど」
 香織さんの声が変わった、ほっとしたものになった。
「いや、ここまでもね」
「大変だったんだね」
「体操とは違うけれど」
「チョモランマのコースはね」
「自転車で行っても凄かったわ」
 自転車のセットで一番ハードなコースだ、だから僕も今は全身汗だくで少し休んでいる位だ。次にかかるまでに。
「本当に」
「お疲れ様」
「じゃあ後はね」
「お風呂入るんだね」
「そうしてくるわ」
「じゃあ僕は今からね」
 そのバーベルを見つつ話した。
「バーベル上げるよ」
「そうするのね」
「それからお風呂に入るよ」
「それで後は」
「お昼食べたら寝ようか」
 漠然とこう考えた。
「そうしようか」
「それでいいんじゃないかしら」
「そうだね、ゆっくりとね」
「私も汗かいて気が引き締まったから」
 明日からの二学期に備えてだ。
「だからね」
「後はゆっくりするんだ」
「そうするわ、もうね」
「身体動かすと違うからね」
「ええ、汗をかくまで動かすとね」
「じゃあ後は」
「お風呂に入って来るから」
 香織さんはこう言って自転車から降りて整理体操をはじめた、そうしバーベルを上げる僕にこうも言ってきた。
「義和もバーベルの後はよね」
「うん、お風呂に入るからね」
「夏でも入るといいのよね」
「何か畑中さんも言っておられたけれど」
 畑中さんは朝入る、それも鍛錬の後に。 
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