八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百五十七話 お袋のことその九
「あの方だけです」
「それじゃあとても」
「無理ですね」
「はい、親父も強情ですからね」
こうした時は妙にだ。
「誰の手も借りないってなって」
「八条家のお力も」
「それでなんですね」
「どうしてもです」
自分を全力で否定している人達に徒手空拳で向かってだ、しかも暴力等強引な力さえも使わないなら余計にだ。
「進めていないです」
「そうなんですね」
「しかも止様はこうした時一本気です」
「そうなんですよ、あの親父根はそうなんです」
あれで一本気なのだ。
「もう向かうことしか知らなくて」
「それがどうも」
「闘牛の牛ですからね」
例えるともう本当にこれだ。
「挫けないんですが」
「前しかです」
「そうです、見ないですから」
「しかも一人ですから」
助言する人もサポートしてくれる人もいなくてだ。
「成功する筈がないですね、けれど僕も」
「義和様もですか」
「自分でもわかっています」
そのつもりだ、本当に。
「結構猪突猛進です」
「ですから」
このことは本当にだ。
「自分でも失敗すると思います」
「では余計にです」
「畑中さんや総帥さんをですか」
「お頼り下さい」
「考えさせて下さい」
こう畑中さんに返した。
「そのことは」
「左様ですか」
「はい、ただ」
ここで僕は考えてから畑中さんに話した、その考えた時間は一瞬だった筈だけれど結構長く考えた様に思えた。
「最後の最後までです」
「私や総帥様のお力はですか」
「借りずにです」
そうしてだ。
「やっていきたいです」
「左様ですか」
「はい」
こう畑中さんに話した。
「どうしてもってなるまで」
「そうですが、ですが」
「それでもですね」
「手遅れになるまでに」
それまでにというのだ。
「私に、そして総帥様にも」
「お話をですね」
「されて下さい」
「その時はですね」
「まだ動かれるかもですね」
「決めていないです」
そこまではまだだ、正直話を聞いて考える様になったばかりでとてもそこから先のことはまだ考えられない。
「どうするかは」
「よくお考え下さい」
「そしてどうするかをですね」
「お決めになって下さい」
僕自身がというのだ。
「そうされて下さい」
「わかりました」
僕も応えた、そしてだった。
お袋のことを考えようとしたがここでだ、畑中さんが僕に穏やかな声で話してきた。今度の話はというと。
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