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八条学園騒動記

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第四百七十一話 ダークヒーローの正義その一

               ダークヒーローの正義
 カトリはマルティにだ、あらためて話した。その話したことは一体どういったものであったかというと。
「さっき童話読んでるって言ったでしょ」
「うん、最近ね」
「復讐は正統派のヒーローのすることじゃないけれど」
「罪を憎んで人を憎まずでね」
「けれど童話でもね」
「最初のシンデレラみたいにだね」
「復讐選ぶ人いるのよ」
 こう話したのだった。
「これがね」
「そうなんだね」
「残酷な復讐をね」
「そういえば童話って」
「残酷な場面多いって言ったでしょ」
「うん」
「それよ」
「そうした残酷な場面がだね」
 マルティは日本の童話の天邪鬼を思い出していた。
「多いね」
「そう、マルティ何か思った?」
「天邪鬼をね」
 その思い出したものを実際に話した。
「女の子を殺して化けてね」
「それでよね」
「報いで殺されるからね」
「そうよね、それを見てもね」
「女の子殺されない場合も多いけれど」
 この辺りは他の童話と同じくアレンジされる様になったのだ。
「女の子に化けて悪いことをしようとして」
「その報いでね」
「残酷に殺されるのよね」
「天邪鬼もね」
 悪行の報いとしてはあまりにもと思えるまでにだ。
「そうなるね」
「それを見てもね」
「童話もね」
「ダークヒーロー要素あるね」
「というか童話にね」 
 これ自体にというのだ。
「ダークヒーローのはじまりがね」
「あるかな」
「報いを与える人いるから」
「そしてその報いがね」
「連合の処刑並だからね」
「もう相手を苦しめて血を流させる」
「そんなのだから」
 それ故にというのだ。
「そう考えるとね」
「童話にこそだね」
「ダークヒーローの源泉というかね」
「はじまりがあるんだ」
「狼と七匹の子山羊だって」
 この有名な童話でもというのだ。
「狼寝てる間に殺せるじゃない」
「うん、子供達を助けてね」
「お母さん山羊がね」
「それ出来たね」
 マルティもこう答えた。
「寝てるしね」
「じゃあその時に首でも絞めれば」
「それで終わりだったね」
「そうでしょ、けれどね」
 そうすれば簡単に狼を殺せたがというのだ。
「子供達を助け出して切ったお腹に石入れてね」
「あえて縫い合わせてね」
「狼がその重さでお水飲む時にお池なり井戸に落ちる様にして」
「溺れ死ぬ様にしたから」
「かなり残酷じゃない」
 カトリはかなり真剣に言った。
「その死ぬ有様見て子供達と一緒に喜んでたし」
「そうだよね」
「その場であっさり殺してないから」
「言われてみればそうだね」
「このお母さん羊かなり残酷でしょ」
「そうだね」
 マルティも頷いて応えた。 
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