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夢幻水滸伝

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第五十五話 武蔵と箱根でその八

「占領してくわ」
「そしてでおじゃるな」
「下総、上総は展開次第やけどな」
「これからの」
「あいつやったら絶対に箱根はすぐに越えてくれる」
「七万の軍勢をそうしてくれるでおじゃるな」
「絶対にな、あいつは一番強い軍勢を率いてるけど」
 東国を攻めている関西の軍勢の中でもだ、そこにいる兵達も率いている星の者達の数も入れてのkとだ。
「やってくれるわ」
「任せられるでおじゃるな」
「万全にな、ほな僕等は江戸や」
 この街のことに専念するというのだ。
「ええな」
「承知したでおじゃるよ」
 夏目は狐のその顔を笑わせて芥川に応えた、そうして今は幸田が率いている東国の軍勢と対峙するのだった。
 芥川の言った通りにだった、中里は。
 箱根、この世界では四十里の距離のそこを空船と海路を使って越えさせていた。まずは山本と井伏の二人をだった。
 空船で真っ先に箱根の先に行かせた、その時に持っている空船で運べるだけの兵と食料も運ばせた。
「まず自分達がや」
「先に行ってじゃな」
「箱根の先を抑えるんじゃな」
「そや、そうしてもらうわ」
 中里は彼等を向かわせる前に陣で二人に話していたのだ。
「そうして全員が来るまでな」
「箱根の先を守って」
「後に続けさすか」
「そうしてもらうで」
 こう言うのだった。
「ええな」
「わかったわ」
 井伏が中里に強い声で答えた。
「やらせてもらうけえのう」
「その様にな、すぐに僕等も向かう」
「空船を行き来させてやな」
「空船を使えば箱根の端から端まで往復で三時間や」
 それだけだというのだ。
「それでや、どんどんそっちに兵を送るからな」
「わし等はまずは守る」
「そうするんやな」
「箱根を越えたら後は楽や、そしてや」
「先にじゃのう」
「進むんじゃな」
「そうしてくわ、補給は空と海からしてく」
 陸よりもというのだ。
「その後はな、ほな頼むで」
「わかったわ、ほなのう」
「先陣は任せるんじゃ」 
 井伏も山本も中里の言葉に頷いた、そうして先陣としてだった。
 最初に空船に乗って箱根を越えてその先に降り立った、そのうえで共にいる兵達に対して強い声で話した。
「味方がどんどん来るまでじゃ」
「わし等はここで守るぞ」
「敵が来ても退けるんじゃ」
「死ぬ気でな」
 二人共既に戦う気だった、実際にすぐ近くに敵の気配を察していた。それで山本は井伏に鋭い目で囁いた。
「わかっとるのう」
「ああ、近くに潜んででな」
 井伏も鋭い目になり応えた。
「狙っとるわ」
「強襲してくることも有り得るわ」
「だからじゃ」
「ここは守りを固めることじゃな」
「援軍は空からどんどん来る」
 ピストン輸送の要領でというのだ。
「それまでの間じゃ」
「今おる三千の軍勢でな」
「粘るぞ」
「援軍はどんどん来るからのう」
 空船でピストン輸送の要領で送ってきてだ、それでだった。
 二人はまずは今いる三千の兵で守りに入った、その彼等に攻めて来る者達はというと。
 武者小路と有島だった、武者小路は森の中に潜んで井伏達が率いる軍勢を見つつ自分の隣にいる有島に囁いた。 
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