空に星が輝く様に
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
181部分:第十三話 家へその十五
第十三話 家へその十五
「けれど。そういうことをしたらね」
「怒るよな」
「物凄く怒るんだって。相手チームに対してもね」
「相手にもか」
「先輩の話だけれど」
こう前置きしてからの話だった。
「去年の冬休みの練習試合で相手が何かしたのよ」
「わざとだよな」
「そう、それで凄く怒ったのよ」
こう話すのである。
「もうこんな先生見たことないって程だったらしいわ」
「確か女子バスケの顧問って」
「ええ、水野先生よ」
先生の名前も出された。
「二年の数学のね」
「だったよな、あの人だよな」
「この学校の卒業生なんだって」
「へえ、八条学園の」
「高校から大学までずっと八条でね」
八条学園の進路で最もよくあるパターンである。
「それで先生になったらしいわ」
「そうだったんだ」
「それで、そういうことになったらね」
「滅茶苦茶怒るってわけか」
「けれどその通りよね」
星華もそのことは頷けることだった。
「やっぱりね。スポーツマンだしね」
「だよな、俺は武道だけれど」
「どっちにしてもそうした卑怯なことしたらいけないわよね」
「反則はな」
「私もそういうこと嫌いだし」
これはその通りだった。星華は昔からそうしたことは嫌う方なのだ。
「やっぱりね」
「俺もそういうのはさ」
「ああ、斉宮は昔からそうよね」
「大嫌いだよ」
そうだというのだった。
「特にいじめとかはね」
「そうよね。いじめは私も」
そのことはだ。星華も真剣な顔で頷く。
「最低よね」
「俺御前がいじめとかするような奴だったらさ」
「その時は?」
「もう友達とかじゃなかったろうな」
陽太郎は少し真剣な顔になっていた。そのうえでの言葉だった。
「もうそんな奴だったらな」
「私そんなことしないから」
顔を俯けさせて。深刻な真顔で答えた星華だった。
「絶対に」
「ああ、御前そういう奴じゃないから」
「わかってくれてるのね」
「わかるさ」
陽太郎はまた真剣な顔で答えた。
「それはさ」
「有り難う」
「じゃあこれから帰るんだよな」
陽太郎はまた星華に問うた。
「これからな」
「ええ、そうよ。もうね」
「じゃあ途中まで一緒だよな」
こう言って星華に頬笑むのだった。
「家までな」
「そうね。何か久し振りよね」
「あはは、そうだよな」
ついついだ。星華のその言葉に笑ってしまった。
「高校に入ってからそういう機会はな」
「なかったわよね」
「中学校の時は結構あったのにな」
陽太郎は少し残念そうに話す。
「高校に入ったら急にな」
「仕方ないわよ」
星華はそれは認めていた。
「残念だけれどね」
「残念?」
「あっ、別に」
つい本音を出してしまった。しかしそれは慌てて消すのだった。
ページ上へ戻る