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八条学園騒動記

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第四百七十話 可愛い声その四

「あんまり酷いお年寄りを老人ホームに入れずにね」
「精神病院に入れるやり方が」
「そう、あるらしいのよ」
 実際にというのだ。
「かなりきついやり方らしいけれど」
「確かにきついね」
「もう一生出さないらしいわ」
 その精神病院からというのだ。
「そうした場合は」
「それでその人もなんだね」
「多分だけれど」
「一生精神病院から出られないんだ」
「というか出さないでしょうね」
 親戚の人達がというのだ。
「もうね」
「役者さんが女遊びが過ぎて娘さんに愛想尽かされて老人ホームに入れられた話はあるけれど」
 二十一世紀初頭の日本でもあったことだ。
「もっと凄いね」
「何かその人がある親戚の人のお家に行った時に」
「何かやったのかな」
「その親戚の人の犬に吠えられてヒス起こして」
「それでなんだ」
「その犬殺してしまえとか言って親戚の人を激怒」 
 そうしてというのだ。
「遂にね」
「精神病院に入れられたんだ」
「そうみたいよ」
「犬は家族だからね」
「家族殺せって言われたらね」
「怒る人は怒るね」
「それでそこでね」
 さらに話したカトリだった。
「その人に前からあることないこと言い回って追い出そうとしていた親戚の人も動いて」
「ああ、その人が」
「精神病院送りを主張してね」
「その人の意見が通ってなんだ」
「何か老人ホームなんか送ったら駄目だって言って」
「もっときつい方法でなんだ」
「精神病院に送ろうって親族の人全員を説得して回って」
 カトリはこのことも話した。
「必死に言って回ってたってね」
「カトリのお母さんが言ったんだ」
「お母さんがそのお婆さんの娘さんがご近所に挨拶に来た時に聞いたのよ」
「それでカトリのお母さんも知ってるんだ」
「その人から聞いてね」
「それでなんだ」
「何でもその人が親戚でお婆さんを特に嫌ってたらしくて」
 その親戚の人がというのだ。
「いつもあることないこと言い回ってて」
「この時を機会にってことで」
「精神病院送りを言ってね、お婆さんのお孫さんだけど」
「その人凄く業が深いね」
 マルティはその主張した人のことも思った。
「自分のお祖母さんを精神病院に送れとか言うなんて」
「そうよね、何があったのしてもね」
「その人にも尋常じゃない人間性を感じるよ」
 悪い意味でだ。
「僕は」
「私もよ、それでそのお婆さんはね」
「今は精神病院にいるんだ」
「そうみたいよ」
「ううん、自業自得にしても」
「無残な結末よね」
「そうだね」
 マルティも心から思うことだった。
「そこまでいくと」
「とにかくそれでね」
「もうご近所にはいないんだ」
「お家も売りに出されてるし」
 老婆が住んでいたその家もだ。 
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