夢幻水滸伝
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第五十四話 東西の戦その九
「十九世紀後半やったな」
「ベートーベンさんの頃はまだドイツなかったわ」
「あの時ドイツようさんの国に分かれてた」
「そうなってたわ」
こう四人で話した、そしてだった。
そうした話をしつつだ、四人は鍋をさらに食べてだった。ベートーベンについてこうしたことも話した。
「耳聴こえんかったってな」
「さっきその話出たな」
「あれ病気やったっていうな」
「梅毒のせいやって」
「それや」
瑠璃子は三人に話した。
「それで耳あかん様になったってな」
「言われてるな」
「あの病気はほんま怖いな」
「耳まであかん様になるなんて」
他の三人も真剣な顔で応えた。
「他にも脊髄とか脳とかやられるっていうし」
「髪の毛も抜けて身体が腐って」
「めっちゃ酷いことになるんやったな」
「そんな病気や」
瑠璃子は茸を食べつつ三人に話した。
「うち等も気をつけなな、もっともな」
「うち等まだ誰もそんな経験ないからな」
雅美が笑ってこう言った、ここで。
「ほんまに」
「キスどころか彼氏と手をつなぐことさえまだやし」
紗枝も言う。
「それで梅毒とかな」
「ある筈ないわ」
由香も笑って言った。
「それで何で梅毒になるねん」
「そや、起きた世界でもこっちの世界でもな」
瑠璃子は二つの世界での自分達のことを話した、このことは四人共であることはお互いに知っているのだ。
「ある筈ないわ」
「そやね、ただこっちの世界はちゃんと治療出来るから」
紗枝がここでこのことを話した。
「このことも有り難いわ」
「梅毒になったら死んでたしな、昔は」
由香は第二次大戦までの自分達が起きた世界でのことを話した。
「結核とかもそやったけど」
「こっちの世界は医学だけやなく僧侶の術とか錬金術とかもあってそっちの技術も発達して使えるさかいな」
最後に雅美が話した。
「それでやな」
「そや、梅毒も治る。もっと言えば結核も」
瑠璃子はもう一つの死病、起きている世界では二十世紀半ばまでそうであったものの名前も出して話した。
「治るさかいな」
「このことだけでも大きいわ」
「こっちの世界は起きてる世界よりもええ世界かもな」
「そうしたことも含めて」
「ほんまやな、こうしたものも普通に食べられるし」
瑠璃子は今度は今食べている水炊きの話をした。
「ええ世界やわ」
「そうした世界やさかいな」
「絶対に救わんとあかんな」
「ここにおる人の平和守らなな」
四人で話した、そうしてだった。
水炊きを心ゆくまで楽しみまた兵を進めるのだった、綾乃が率いる軍勢は厩橋城まで順調に進んでいった。
やがて厩橋城が見えてきた、そうするとだった。先陣を率いる玲子は自分が率いる先陣の兵達に対して言った。
「じゃあね」
「はい、いよいよですね」
「城攻めですね」
「あの城を攻め落としますか」
「厩橋城を」
「そうするよ、あの城を攻め落としてね」
見ただけで堅固でしっかりとした造りの城を見つつの言葉だ。
「あたし達の東国攻めの拠点にするよ」
「その為にもですね」
「今から攻めてそうしてですね」
「攻め落とす」
「そうしますか」
「そうさ、空船に大砲を前に出すんだよ」
この二つをというのだ。
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