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夢幻水滸伝

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第五十四話 東西の戦その七

「そうだな」
「はい、確かに」
 そしてこのことは鈴子も知っている、それで室生にすぐに応えたのだ。
「彼等は」
「決してな」
「愚かでない、むしろだ」
「その逆ですね」
「頭はかなりいい、だからだ」
「必ずですね」
「仕掛けて来る」
 室生は確信を以て言い切った。
「まさにその時こそな」
「そうですね」
「厩橋城を攻め落とせられれば大きいが」
「しかしですね」
「それで終わりではない」
 このことをまた言うのだった。
「それを忘れるとだ」
「ならないですね」
「上野を抑えてだ」
「下野、そして関東の東に東北をですね」
「攻め取るのだ」
 戦略としてそうした風に攻めていくことが決まっている、越後から入る軍勢もこのことが決まっているのだ。
「だから厩橋城を攻め取ってもな」
「それだけではですね」
「油断しては何もならない」
「全く以てその通りですね」
「最初の段階で安心してもな」 
 その時はとだ、室生はさらに話した。
「愚かだ」
「ですから」
「勝って兜といきたい」
 その緒をというのだ。
「締めていこう」
「はい、それでなのですが」
 鈴子は室生の話を聞きつつここでこうもだ、室生に話した。
「今日のお昼ですが」
「食事か」
「今日は鍋ですが」
「何の鍋だ」
「鶏です」
 そちらの鍋だというのだ。
「それになります」
「水炊きか」
「はい、それで下野に入れば」
「餃子か」
「それを食べるとのことです」
「あの国なら餃子だな」
 室生もこのことはわかっていた、あの国ならというのだ。
「やはりな」
「そうですね」
「むしろ下野で餃子を食べないとな」
「何か下野に来た気がしませんね」
「全くだ、しかしだ」
 室生は餃子について鈴子にこうも話した。
「あの国の餃子は焼き餃子だな」
「ですね、あちらは」
「日本で餃子というと多くは焼き餃子だが」
「それが中国では違いますからね」
「北は水餃子、南は蒸し餃子だ」
 餃子は餃子でもそれぞれ違っているのだ。
「これは八条学園では知られているな」
「はい、中国からの留学生も多いですから」 
 他には台湾や香港からも来ている、中華圏からの留学生も多くそれで餃子のこともよく知られているのだ。
「私も聞いていますし」
「食堂にもあるしな」
「はい、そちらの餃子も」
 水餃子や蒸し餃子がだ。
「あってそうして」
「美味しくな」
「食べていますね」
「中国にも焼き餃子はあるが」
 あるにはあるのだ。
「東北の料理でな」
「中国では主流ではないですね」
「主流はな」
「やはり水餃子や蒸し餃子ですね」
「そちらになるし大蒜も入れない」
 日本の焼き餃子とは違ってだ。 
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