八条学園騒動記
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第四百六十九話 努力を否定してもその八
「してなかった節があるわね」
「性格破綻者って有名だったしね」
「生活とかはね」
「普通に送られる人じゃなかったんだ」
「このお話有名でしょ」
「うん、無邪気で悪意はなかったけれど」
いい意味で童心を忘れていなかった、下品ではあったが邪悪な人間では決してなくむしろ博愛主義で公平な人物であった。
「それでもね」
「ビリアードにお金注ぎ込んでだったから」
「ギャンブル狂と変わらないね」
「今だったらそれで治療受けてたかもね」
ギャンブル依存症に分類されてた。
「ベートーベンはお金にも五月蠅かったらしいけれど」
「お金がないうえに」
「そう、そのせいか毎朝コーヒーの豆粒を数えて飲んでいて」
「一粒でも間違えたら癇癪起こしそうだね」
「それであちこち壊しそうよね」
「ベートーベンならね」
癇癪でも有名な彼ならというのだ。
「そうなりそうだね」
「逆にモーツァルトはこだわらなさそうよね」
「コーヒーの豆粒位ね」
「けれどどっちもね」
「閃きを音楽以外貰えなくて」
「ああした人生だったのよ」
「ううん、凄い話だね」
ネロは二人の、この時代でも人類の歴史に名を残す偉大な音楽家達についてここまで聞いて心から思った。
「エジソンさん以上に」
「ええ、けれどその音楽が今も残って」
「沢山の人達を感動させて楽しませているから」
「偉大よね」
「うん、色々突っ込みどころのある人達だったけれど」
それでもというのだ。
「偉大だね」
「エジソンさんはエジソンさんだね」
「そうだね、予言よりずっといいよ」
「あれは変に世を騒がせるだけだから」
二十世紀後半の日本ではやたらと一九九九年七月に人類が滅亡すると言われていた、この話が半ば既定の未来になっていた程だ。
「何の役にも立ってないじゃない」
「そうだよね」
「そもそもイスラムだとね」
「もう予言とか言ったら」
「その時点でアウトだしね」
「連合じゃお笑いで済むけれど」
「サハラだと」
連合そしてマウリアより遥かにイスラムを厳格に信じているこの地域ではというのだ。
「もうね」
「予言というか預言はね」
「もう出る筈がないから」
「ムハンマドが最後だから」
そして最高のだ。
「そうなってるから」
「そこで予言とか言ったら」
「大変なことになるね」
「そうよ、下手したらね」
この場合周りに物騒な人間がいた場合はとなる。
「それこそね」
「死ぬよね」
「予言なぞあるかって言われてね」
「殺されるかもね」
「本当にね」
アロアも否定せずに述べた。
「そうなるわよ」
「そうよね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「言わない方がいいわよ」
「そうだよね」
「そうした意味でもイスラムって凄いわね」
「変な予言が流布するのを止めてるから」
それでというのだ。
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