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真田十勇士

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巻ノ百四十 槍に生きその六

「よいな」
「はい、それでは」
「御覧なられよ」
「我等の忍の秘術」
「殿と共の修行で備えたそれを」
 十勇士達は先陣を駆けつつ口々に言った、そしてだった。
 まずは霧隠がだ、深い霧を出して。
 敵陣を覆った、すると敵の兵達はその深い霧の中で周りが見えなくなってしまった。
「な、何じゃこの霧は!?」
「しかも何か急に身体が痺れてきたぞ」
「毒の霧というのか!」
「こうした霧を使う者は」
「霧隠才蔵か!」
「あの者か!」
「左様、我が秘術魔霧」
 それだとだ、霧の中で霧隠の声がした。姿は見えないが声はした。
「それを今使ったまでのこと」
「むr、霧隠才蔵!」
「その声は!」
「出て来たか!」
「その霧で痺れ動けなくなるがいい」
 こう言うのだった、己の霧の中で痺れる敵兵達に。
「そして討たれるのじゃ」
「ぐつ!」
「ぐはっ!」
 兵達は霧の中で痺れ動けなくなり霧隠に討たれていった、そうして霧が晴れた後に残ったのは彼等の骸だけだった。
 穴山は姿を消した、そしてだった。
 無数の鉄砲が宙に浮かびだ、その全ての鉄砲達が火を噴き敵兵達を撃ち倒した。
「何じゃこれは!」
「鉄砲が勝手に浮かび火を噴いておるぞ!」
「それも次から次に」
「これはどういうことじゃ!」
「これぞ我が秘術浮かび鉄砲!」
 穴山の声だけがした。
「姿が見えぬまでに素早く飛び回り鉄砲を撃つのじゃ!」
「その様なことをするか!」
「出来るというのか!」
「何と恐ろしい者じゃ」
「あれが天下一の鉄砲使いか」
「逃げる者は追わぬ、死ぬたい者だけ来るのじゃ!」
 穴山の声がする、彼は己の秘術を出し続けていた。
 望月の姿はかろうじて見えていた、だがその両手を己の身体の前で大きく旋回させてそのうえでだった。
 両手を合わせた上で非常に大きな気を放ってその気で敵の兵達を十人位まとめて吹き飛ばして言った。
「我が秘術、どうじゃ!」
「こ奴は気を使うか」
「しかし何という気の大きさよ」
「一撃一撃が大砲の弾の様じゃ」
「一発で十人は吹き飛ぶぞ」
「それを続け様に放つとは」
「何という者じゃ」
 望月についてもこう言うのだった。
「恐ろしい男じゃ」
「近寄れば拳や足がくる」
「これは敵わぬ」
「まさに鬼よ」
「左様わしは殿の為なら鬼となる」
 望月自身こう言った。
「そのうえで戦うわ」
「ううむ、恐ろしい男よ」
「これは迂闊には攻められぬぞ」
「あれだけの気の大きさだと」
「手出しの仕様がないわ」
 幕府方の兵達は望月も止められていなかった、彼等はただひたすら吹き飛ばされるばかりであった。
 由利が鎖鎌の分銅を振り回すとまるで竜巻の様に荒れ狂いそれが敵兵達を薙ぎ倒していく、鎌からは鎌ィ足が放たれてだ。それでも敵兵達を切り裂いて倒していた。
 そうしつつだ、由利は高らかに言っていた。 
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