空に星が輝く様に
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137部分:第十一話 プールでその四
第十一話 プールでその四
「それでいい」
「わからなくてもわかったって」
「言葉を覚えておいてくれたらいい」
具体的にはそういうことだった。
「それでいい」
「それじゃあ具体的にはビキニと競泳水着は」
「スクール水着も」
スクール水着は外せないというのだった。
「そういうこと」
「わかったわ。それじゃあ」
「それで行く。つきぴー水着持ってる?」
「それでもビキニと競泳水着、スクール水着もまだあるからそれは全部外して」
椎名の言葉はしっかりと聞いていた。
「その中から派手でない水着を選んで」
「そうして」
「わかったわ。じゃあ愛ちゃんはどうするの?」
「これから選ぶ」
そうするというのだった。
「今日お店に行く」
「八条百貨店?」
「そこにするつもりだけれど」
「それだったら」
八条百貨店と聞いてだった。月美は明るい顔で彼女に言うのだった。
「部活の帰りに待ち合わせして行かない?」
「一緒になの」
「そう、一緒に行かない?二人で」
こう椎名に提案するのだった。
「実は私も行きたかったし」
「何処に行くつもりだったの?」
「CDショップなの」
そこだというのである。
「そこに行くつもりなの」
「そうだったの」
「ベルリオーズ買おうって思って」
「クラシックね」
「そう、幻想交響曲」
ベルリオーズの代表作の一つである。自殺未遂を起こし意識朦朧としている中で見た夢、幻想といったものを音楽にしたものである。実に不思議な響きのある曲だ。
「それを買うつもりだけれど」
「相変わらずクラシック好きなの」
「うん、だからね」
それでだというのだった。
「それでなの」
「わかった」
椎名は月美のその言葉に頷いた。
「それなら一緒に」
「行きましょう。そういえば愛ちゃんは」
「今度は何?」
「音楽はやっぱり」
「パンクかヘビメタ」
それだというのである。
「ハードメタルも好き」
「派手系よね」
「ファッションも」
それもだというのである。
「それもそっち系列がいい」
「そうよね。けれど白いすっきりしたのも好きよね」
「それもいい」
趣味は結構幅が広いようである。
「どっちも」
「私はやっぱり」
「つきぴーはしっとり系ね」
「清潔な感じなのが好きなの」
ある意味自分に合った服を選んでいると言えた。
「あと和服も」
「似合ってるからいい」
「有り難う」
「それじゃあ日曜は」
「うん、地味な水着でね」
こう話してだった。二人で日曜の話をしていた。そうしてだった。
その日の部活の後実際に二人で百貨店に行った。そのスポーツ用品店の隣にある水着売り場に入ってだ。椎名の水着を二人で選ぶのだった。
それから日曜になった。プールの最寄の駅に行くとだった。
既に陽太郎がいた。狭山と津島もだった。
「おはよう」
「よお、チビッ子」
「おはよう」
陽太郎と狭山、それに津島が二人に笑顔で挨拶をする。駅から出たそこにいたのである。
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