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妖精の尻尾所属の戦闘民族(旧)

作者:貝殻
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第16話 楽しみ

 
前書き
直るその時までサイトを消さずに待機していた貝殻です。
やっと投稿できるようになりましたので投稿させていただきます。
…これでマシになればいいんだけどなぁ…(遠目) 

 
「レッド!待たせたかしら?」

「ん、いいやオレも今来たとこだからそんなに待ってないぞ」

今、オレとミラはマグノリアの待ち合わせ場所である公園で集合していた。
先日にミラから買い物の手伝いを頼まれたので一緒に来ることになった。

別にやることが本当になかったたわけではない。
出発前にトレーニングするのもいいが、偶に休まないと動く時に動けなくなることもあるし、何よりも体をいじめ続けるという愚行になりえないからこうして休息を取っているだけだ。
そして休日で特にすることもないオレが悩んでいたらミラからの提案に乗った。

前世なら休日で漫画とかラノベ、ゲーム等の娯楽物があればオレは休日を取れていたのだろうが…。
この世界でゲームはなく、ラノベもない。一応漫画や雑誌と小説はあるがオレがお気に入りボタンを押せるようなものはなかった。

…いや、あるかもしれないけどさ…修行しないといつクエストか不幸の事故で怪我するか分からないし…なら体を鍛えて強くなるしかないと思ってさ(脳筋)

後一応勉強をしてみたが、前世とはあまり頭の出来は変わっていなかった。変わっていたのは体の成長と尻尾、戦闘欲が出たとか。

前世より年をとった(22歳)現在のオレはここに来るまでにはあまり性欲が働かなかった。
一応好みの顔の女性や軽く露出度の高い女性を見るとドキッときたりはするが、そこはすぐに我に戻れるから戦闘中に色仕掛けをされても相手のペースには乗らずに闘える。

ただ、強者を見るとザワザワ感というのか、オレの中の相手と闘り合いたいという欲望が強くなる。

それはサイヤ人としての本能だろう。恐らく前世のオレと違って性欲が少ないのはそのせいもある。
いや…まぁ年をとっていく内に性欲も薄まるだろうけど。

だから今のオレを前世のオレが見たら多分「え、(オレ)ぇ…?」になるのは間違いない。

…いい加減、現実逃避をやめたほうがいいかもしれない。目の前の少女の格好を見て現実逃避とは…だが弁解はさせてもらいたい。お買い物だって聞いたからそのつもりで来たのに、まさかソレだと思わないだろ。

「…随分間があったわね? なぁに、この服似合っていないのかしら」

「滅相もありません。 とてもお似合いです、はい」

そう、彼女はめちゃくちゃ気合の入った服を着て居るんです(震声)

最近ではワンピースを着ていたのに、何故か今日はワイシャツとそしてネクタイ。
そして花の髪飾りもつけていればいつも縛っている前髪は今回では下ろしている。
彼女の銀髪は綺麗でいて、パーマではなくその地毛もよく表れていると思う。
昔と違って育ったその体も女性らしいし、ナイスバディ…じゃなくて

…お買い物…だよね?お買い物に気合入りすぎてるんじゃあない…?(超震)

「似合っているんだ…!よかった! 結構迷って選んだから時間がかかったのよねぇ」

「お、おう」

クラビアで大人気の君に「似合ってないヨ☆」と言ってみろよ、逆にオレの頭が可笑しいんじゃないかって疑われるぞ確実に。

…てかオレいつもの道着を着ているんだけど…お買い物だから早く終わるのかと思っていたし…。

「じゃあ行きましょ?私の服だけじゃなくて、レッドの服も選びましょう」

「ワカッタ…」

あ、オレの道着を見ての提案ですね?はい、勿論(白目)



――これって、デートじゃね?



◆◆◆◆◆◆




マグノリアの商店街にある男性用の服屋

「レッド、これなんてどうかしら?」

目の前で見せられる服を見て、もうなんでもいいと思う。
元から服のセンスなんで0に近いオレが選んでも意味ないだろう。
昔はパーカーやジャージだけで済ましていたし、何よりも今更そういう服を買ってもなぁ、って思ったりする。


―――だが、それはデートとか必要な時にやっぱり必要なのだと改めて認識し始めた。

「この黄色のブレザーと白いワイシャツ、Tシャツなんていいじゃない?あら?こんな道着あったの?これもレッドに似合いそうじゃない?え?私に似合う?もー…口が上手いんだからぁ」

色々と見せられる服を見て適当に返すのは間違っていないはずだ。

…いや、適当ってよりもテンパっているのだが。
だが、見せてもらっている服がどこか見覚えのあるような…そう、前世のゲームでよくやっていた…思い出せないけどそれに似てる気が…あれ、うーん?

「レッド?決まらないのなら私が選ぼうか?」

おっと、なんてありがたい申し出。君のセンスになら安心して任せれる…大丈夫だよな?

「んー…あ、この青いジャケットなんてどう?」

「おう?…おー…いいんじゃねえか?てか左腕の方…何も書かれてないよな」

「これ、好きな紋章を入れていいってこの説明文に書いてあるわねぇ…妖精の尻尾のマークでも入れる?」

「いいな…ってもうこのジャケットに確定なのな…」

「いいじゃあない、似合うわよ絶対」

「あー…そうか?…なら買うか…」

彼女はグラビアでセンスもいいだろうし、恐らく男物についても知識があるだろう。
ならこの服を買ってみてもいいのかもしれない。
そう思い財布が入っているであろうポケットへ手を伸ばすと財布を取る仕事だった手をミラの手によって阻止された。

「…どうした?」

「私が選ぶから払う。貴方は私の服を後で♥」

「あ、うん…ワカッタ」

そう言われたら断れてねえ(漢)

…偶に金を貯めて良かったと思える日が来るとは…やっぱり金は貯めるものだよなぁ…。


◆◆◆◆◆◆


次に女性用の服屋

「むゥ…どれがいいんだ…これとか…?」

「あら、それさっき私がレッドに選んだジャケットと似ているわねぇ…胸の方のマークは空白だし…狙っているの?」

「え、いやそういうわけじゃないけど…」

 一応良さそうだと思って選んでみたが、まさかカウンターされるとは思わなかったぜ。
だけど、この店は凄いな。同じ奴があっても別の色もあるし。

「なら、これはどうだ?」

「ん?…これさっき私が貴方に見せたブレザーと同じ種類じゃない。 ねぇ狙ってるの?ねえ」

「いや…違うんだけど」

おい、どうなっていやがる(憤怒)
なんか似ている服しか見せてねえかオレ。てかさっきの男性用の服店と同じモデルが多くねえかおい。

「でもミラはどんな服でも似合いそうなんだよなぁ…グラビアもそうだし、やっぱり綺麗になるもんなんだな…」

「…本当に狙ってないの?」

「え、何が?」

てか顔が赤くねえか…?え、気のせい?そ、そう…。

結局、オレが見せた服全部買った。(10万って意外となくなりやすいのね)

◆◆◆◆◆◆


ミラの分の服とオレの分の服を届けに出した後にオレたちは食事をした。
軽く店の人に迷惑をかけてしまったが、後悔はない、反省はしている…。
美味しかったし、満腹感でもう満足だ。


そしてオレとミラは一緒にアイスコロッケなどを食べながら大通りで歩いていた。
 え、お前満腹なんじゃないのかって?これは別腹っていうやつかもな(そっと目そらし)

「…鈍感でありながら天然…本当に厄介ね」

「いや…だから何がだ。 ブツブツ言ってないで普通に言ってくれよぉ…」

そろそろSANチェック値がキツイから。

「…アイスコロッケをレッドと食べるのは久しぶりね」

「ん?そうか?」

「そーよ。 あなた、いつも仕事でギルドに居ない時間が増えてきたじゃない」

それを言われて「あー」と呟く。
実際は仕事を終わらせた後にはジェラールとアニマ探索して各地に周っているだけだがな。
てか、目的の一つと関係性のある少女と居るオレぇ…。

「私…このアイスコロッケを初めて食べたときから好きなの。 とっても暖かい気持ちになれるから」

「へぇ…そうか。 でも同感はできるなー」

そういえば、前にはミラをリサーナとエルフマンを打ち合わせるためにアイスコロッケを渡して時間を稼いだんだよな。…いや、いらなかっただろうけど。

――その時のことを思い出してハッとなる。
ミラの方へと目を向ければ、ミラの目は悲しそうな色を浮かべていた。
この目は珍しいことではない。皆の前に居るときは浮かべたりしないが、時々だけリサーナを思い出すときにはこの目になったりすることがあるのを目撃したことがある。
気づいた人たちも居るが、それに触れないで待つ。 心の傷が少しでも広げないために。

そして、その目を見てオレはまた決意を認識する。

リサーナを、あそこ(エドラス)から取り戻すことを。
必ず、ミラとエルフマンのところへと連れて帰ることを。



これはオレの勝手な我儘(エゴ)だ。分かっている。
望んでやらされているわけではないことも、知っている。
だが、それでも止まるつもりはない。
これは、オレがしたくてすることなのだから。

例え、後悔したとしても――必ず…。





「そういえば、レッドは映画――あまり見なさそうね」

「いやぁ…1年に1回は見るけどな」

オレとミラは映画魔水晶を見に行っている。
思えば、映画はあまり見てないな。
前世はよく見ることがあったが…ここでは見ていない。
特に修行することが多かったし、何よりも冒険するみたいに仕事に出回っていたからな。
ラクサスやエルザで行ったことがあるが…どれもアクションだったりしたなぁ…面白かったが。

「これからどんな映画を見るんだ?」

「ふふっ、恋愛要素があるアドベンチャーな話よ」

「ほー…勇者がお姫様を救うやつか?」

「んー、当たらずといえども遠からず、かしらね」



 ◆◆◆◆◆◆




 「…女の勇者が勇者姫で…王子を助ける物語…これは初めて見たわ」

前世も含めて(白目)

「でしょうね、それにこの映画は色々と新鮮だったりして大好評なのよ♪」

そりゃそうだろうな。

まさかのラスボスが王子の父である王だったり…。
勇者姫は王子とは前世で恋人で、その記憶を王子しか覚えていなかったり。
それに勇者姫は男ではなく女性にモテていたり。
王子の危機一髪に勇者姫が怒りで怒涛の展開になったり。

なんというかもう…お腹いっぱいだよ…違う意味で。

「それに、この映画が面白かったおかげで次回作もあるらしいわよ?」

「え、マジか。 人気はあるとは思っていたけどまさか次回もあるとは…」

「ふふっ、そのときはまた二人で見ようね♪」

「え…あ…おう」


◆◆◆◆◆◆




それからというものは映画の話をして盛り上がったり、ギルドの話をしたりしてマグノリアの南口公園へと戻ってきた。

集合場所として一回来たのだが、ミラはここで夕日が沈むのを見たいらしいのでまた戻ってきたのだ。

今はもう夕方、夕日は沈んでいっている。
子供たちが走りながら自分たちの家へと帰宅しているところを見ると、もう結構時間が経ったらしい。

「はー!楽しかったぁ…!」

「だなぁ…本当に、楽しかった」

新しい装備()も手に入れたし、久しぶりにアイスコロッケを食べてグルメをしていた時を懐かしめたし。
決意もまたできたし…何よりも、また楽しみが増えた。

公園に着くと、ミラはオレに背を見せながら沈んでいく夕日を見つめていた。

やはりこの世界にきても夕日が見れるのは良かったと思う。何よりも綺麗だし、尊く思えるのだから。
何より、辛い時に見ると少しだけ励まされるような気分になれたりする。

そういえば昔に読んだ本の中に、夕日について語っていた。

夕刻の一時は一瞬であり、1日で最も少なく現れるもの。
けれどもその一瞬は美しく、一瞬一瞬を大事だと思えてしまう。

その言葉が好きで、今でも覚えている。一生懸命に頑張れると思えてしまう、そんな言葉。


夕日の照らす光は綺麗なのだが――その光が目の前の銀髪の少女の髪にも照らされ、より一層綺麗だと思った。
まるで夕日は彼女を綺麗にするためスパイスかと、そう錯覚してしまった。
そして、風は通り過ぎる。
寒くもない、暖かさを感じる。
そして風で少女の髪は靡かせ、それがまた絵を完成させられる。

オレは芸術だとか、そういう心得はない。だが、オレにとって目の前のこの光景こそ、芸術なのではないかと思ってしまった。

そして、夕日が沈んで夜になろうとしている。

だが空は紫色、夕日が去った空になった。

ミラは夕日を見つめ終わった後、こちらに振り返る。
振り返るミラの顔は先ほどの無邪気な笑顔ではなく、どこか心配そうに、そして悲しそうな顔をしている。

なぜ、そんな顔をするのか。

「ねぇ――レッドは、ちゃんと帰ってきてくれるの…?」

そう問われ、その返答に笑みを浮かべて迷わずに即答する。
それは偽りではなく、本心で。

「――たり前だろ。 オレの、オレたちの帰る場所が妖精の尻尾である限り、絶対に帰ってくる。それにオレはここが、皆がいる場所が好きなんだ。それなのにここから離れる要素はねえよ」

前世でのオレはどうなったかは知らない。
帰れるかも分からない。
恐らくオレは転生とやらを果たしたかもしれないし、今過ごしているこの瞬間は夢なのかもしれない。

だが、それでもオレはここが大切だったと言おう。
楽しい夢を見終わった後でも、覚えていなかったとしてもオレは「とてもいい夢だった」で終わる。
だが、それでもいい。それは、満足したってことになるだろう。

オレは自分のために動く。エゴを貫く。
死にたくないし、皆を死なせたくもない。
一緒に居たい、まだ皆と馬鹿騒ぎをしたい。

何よりも、楽しみがあるんだ。 あっち(エドラス)から帰ってくる時の楽しみが。

「そう、楽しみがまだあるんだよ。 皆が帰ってきた時にどれぐらい強くなったとか、皆は一体どんな冒険をしたのか。 何が楽しく、何が悲しかったのか。 それに、ミラとはまた映画を見るのも楽しみでもあるんだ」

そう、まだ楽しみがいっぱいある。

それはウォーロッドさんからの依頼。いや、楽しみにしちゃ悪いのだが。
ギルダーツはは100年クエストをやり遂げたのか。
エルザたちはどれ程強くなったのか。
誇り高き猿の尻尾と妖精の尻尾はこれからのどんな活躍をするのか。


オレは、まだ死ぬつもりもない。

まだ、冒険は終わってないのだから。

「…そ…う…」

ミラから息を呑み込む。そして、手を胸へと持って握りしめ――花が咲くような、そして紫色のはずの空が、輝いているように見えた。

「なら、待つわ。 私は、皆は貴方の、レッドの帰りを待っている。
だから、必ず私達の、私のところへに帰ってきて」

「――おうとも、オレは、レッド・パッペは絶対に帰ってくる。だから心配しないで待っててくれ!
絶対に、帰ってくる。そして、全てが終わった時に驚くような話をするからさ」

――楽しみにしてくれ。





リサーナも連れて帰る。絶対に――

オレは、見たいんだ。妖精の尻尾での光景を。

馬鹿騒ぎをしている皆と、それに混じっているリサーナとエルフマンにミラ。
そして――弟子のジェラールが素顔を出していて、皆と笑っている光景を。

ああ、本当に――楽しみだ―――。








「先生…女の匂いがしたのですが…少しお話をしても…?」

「え、ちょおまなにすr…ぎゃああああああああ!!!!」






ミラを自宅に送った後オレも帰宅した…はずだが…何故かその後の記憶がない。
本当に、どうなってんだろう…(ブルブル)
 
 

 
後書き
本日の装備(服装)

レッドの服装、ミラからの紹介。
殆どゼノバースから

1.学生服ブレザー
2.武道時の道着
3.最後、タイムパトロール隊員服(マントなし)

…マントがないならもうトランクスに近いんじゃね?

ミラのデートに着用していた服装、天狼島編のS級魔道士の3人であるギルダーツとエルザ、ミラが一緒にいる絵。その時のミラの服。

知らない人は漫画を買うか、調べるにしてください…ハイすみません←



さぁて…次回はどうしよ(震声) 
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