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ONE PIECEを知らないエヴァンジェリン中将が原作を破壊するようです

作者:羽田京
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プロローグ

 
前書き
ONE PIECEの世界に転生した、ネギま!のエヴァンジェリンになった凡人のお話です。
プロットはできているので、プロローグには色々と伏線があります。
原作をなぞるようでなぞらない。そんな感じで進んでいきます。

ようやく投稿できました。よろしくお願いいたします。
 

 
 『俺』が『私』になってもう何年経っただろうか。
 最初は木を削って日数を数えていたが、10年を過ぎたころには月数だけ、100年を過ぎたころには年数だけ数えるようになった。
 ロビンソン・クルーソーもびっくりである。

 
 というわけで、初めましてエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(偽)でございます。


 まあ、よくある神様転生というやつだ。しかも、TS転生。
 よくわからんうちに死んで、神様っぽいのに出会って――転生させてくれるというから "エヴァンジェリンにしてくれ!" と頼んだ。


 『俺』の一番好きなキャラクターが、ネギま!のエヴァンジェリンだったからだ。
 知らない人のために言っておくと、ネギま!というのは女子中学校に子ども先生が赴任してくるラブコメ――かと思いきや、魔法も未来人も異世界も戦争もある熱いバトルものである。
 最終的には世界を救うのだが、まあ、言いたいのは『俺』はネギま!が大好きだったってことだ。


 で、エヴァンジェリンというのは、真祖のロリ吸血姫で600年を生きる懸賞金600万ドルの吸血鬼で通称『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』あるいは『不死の魔法使い(マガ・ノスフェラトゥ)』。
 ラスボスクラスの強さをもつが、女子供は殺さない『誇りある悪』なんだ。あと、ツンデレ。
 そんな彼女に強い憧れを持っていた俺は、エヴァンジェリンになりたかった。
 『俺』ではない彼女になれば、きっと弱い俺と決別して物語の一員になれるんだと信じていた。
 

 で、無事転生したんだが、喜んだのも束の間だった。

「9歳くらいの流れる錦糸のようなブロンドの長髪でルビーのような瞳の美少女。うん、確かにエヴァンジェリンで間違いないがな」
 
 だって、目覚めたら砂浜の上だったんだ。
 晴れやかな天気の下、眼前には大海原。背後には鬱蒼としたジャングル。

「はあ、ここはどこなんだろうな。いや、そもそも本当にネギま!の世界なのか?」

 だがまあ、当初は楽観視していた。まさか無人島とは思わなかったし、エヴァンジェリンの力を持ってすればどうとでもなると思っていたからだ。
 作中最強クラスだからね。そう――『本物のエヴァンジェリン』だったらな!


 気楽にジャングルへ入り、恐竜のような不思議生物に食われて俺は死んだ。

「私が真祖の吸血姫じゃなかったら即死だった」

 で、発覚した驚愕の事実。『俺』はとっても弱かった。
 確かにスペックはエヴァンジェリンかもしれない。
 けれども、『俺』は知識も経験も一般人に過ぎない。
 戦闘方法? んなもんわかるか!

 ……そこから『俺』の無人島サバイバル生活が始まった。


「ケケケ、ゴ主人ノ昔話ハ面白イナ。モット、聞カセテクレヨ」
「ああ、そうだなチャチャゼロ。丁度いい、一度じっくり私の話を聞いてもらおうか」




「おおおおお! 水じゃああああ!」

 転生生活3日目。
 一発目から死んでトラウマになった俺は砂浜でひたすら震えて過ごしていた。
 けれども、飢えと渇きに苦しみ、仕方なくびくびくしながらジャングルへと入り込んだ。
 この体はスペックはやはり高いらしく、生き物の気配を読んで、ひたすら戦闘を避けつつ、水音を探した。
 で、ようやく泉をみつけたのだった。

「うめえええ!」

 3日ぶりに飲む水はまるで甘露のようだった。人生で一番うまかったに違いない。
 だがしかし、水というのは生物にとって欠かせない存在。
 当然、水場は野生の生物にとって生死に直結する聖域である。

「ん? やばっ」

 渇きをいやして気を抜いた俺は "ズシン" という音に気が付く。
 そちらをみやると、恐竜さんがコンニチワしていました。
 俺は死んだ。スイーツ()


 転生生活30日目。
 不死の魔法使い(マガ・ノスフェラトゥ)は伊達じゃない!

 あれから何度も死んだ。死んでも復活することをいいことに、修行しまくった。
 前世では働いたら負けかな? と思っていたけれど、生死がかかると人間必死になるんだね。
 10回くらい死ぬと死ぬのが怖くなくなったぜ。
 食料は小型の生物と果物でなんとかなってるのが救いか。
 

「よう、恐竜野郎、今日こそお前の年貢の納め時だぜ」
「グルルルル」

 死に戻りをしつつ毎日チャレンジしていた恐竜君。今日こそ俺が勝つ!


 転生生活57日目。

 今日も負けた。恐竜君マジ強い。マジ理不尽。
 でも、最近は3分間くらい耐えられるようになってきた――素手で。
 そう、俺はいままで素手で戦ってきたのである。
 ウルトラマンもびっくりである。
 本当は魔法を使いたかったのだけれど、使い方なんてわからないし。


 魔法の使えないエヴァンジェリンなんてチーズのないチーズバーガーみたいなもんだよね。


 ああ、チーズバーガー喰いてえなあ。和食が恋しい。
 だって、涙が出ちゃう。女の子だもん。


 転生生活⇒無人島生活82日目。
 
「世界はいつだって、こんなはずじゃないことばっかりだよ!!」

 驚愕の事実。この島、無人島っぽい。思わずクロスケのセリフをパクってしまった。
 海岸線沿いに歩いたら、ぐるっと一周してしまったのだ。人っ子一人いやしない。
 

 無人島生活100日目。
 記念すべき?100日目。
 最近は魔法をどうにかして使いたいと思い、瞑想をしている。
 ダメ元だったが、なんか魔力っぽいものを感じることができる。
 というか、俺の服、魔力で出来ていた。
 あれ、これいけんじゃね?
 こんなところにヒントがあったとは。おのれ孔明の罠か!


 無人島生活105日目。

「ささやき - いのり - えいしょう - ねんじろ!」

 しかし何も起こらなかった。


 無人島生活114日目。

「フハハハハハ! プラクテ ビギ・ナル “火よ灯れ(アールデスカット)” 」

 しゅぼっと、ライターのようなしょっぱい炎が指先から出た。
 魔法である。
 これで勝つる! 首を洗って待っていろ恐竜君!


 絶対恐竜なんかに負けたりしない!


 無人島生活115日目。

 恐竜には勝てなかったよ……。


 いや、常識的に考えてライターで恐竜に勝てるわけないわな。
 昨日は魔法が使えた喜びで頭がおかしくなっていたらしい。
 でも、このまま魔法を修行していけば、いつかは勝てるのではないか。
 なんか最近戦うのが楽しくなってきた。
 修行するのも楽しい。


 テレビもねえ! ラジオもねえ! 風呂もトイレもねえ! というか人っ子一人いねえ!


 今の生活は前世よりもはるかに厳しい最低の生活だ。
 こんなはずじゃなかったってばかり初めは思っていた。
 けれども "俺には努力なんてできない" ていうのは思い込みだったのだろう。
 努力して失敗するのが怖くて、ちっぽけな自分のプライドを守るためにニートになった。


 いまは失敗ばかりの生活というか死んでばかりの生活だけれど、そう、なんていうか充実しているんだ。
 見守ってくれていた家族の気持ちがいまならよくわかる。
 一歩でも、いや半歩でも踏み出せば、全く違う世界が広がっていたんだ。
 死んで初めて気づくなんて、ね。あたしってほんとバカ。


 父ちゃん、母ちゃん、会いたいよ……。


 無人島生活137日目

 気を整え
 拝み
 祈り
 構えて
 突く


 無人島生活365日目。

「フ! フッ!」

 魔法の勉強は遅々として進まない。まあ、独学なんだから当然か。
 ネギま!とかに出てきた修行方法を見様見真似でやっているが、それなりに効果があるようだ。
 オタクでよかったぜ。

「フッ! 1万回目ッ!」

 身体能力はかなり上がった自信がある。
 感謝の正拳突きも1万回できるようになった。まあ、半日かかるので、毎日とはいかないが。
 今日で丁度1年目。


 絶対恐竜なんかに負けたりしない!


 無人島生活368日目。

 勝ったぞおおおお!
 3日にわたる死闘の末に恐竜君を倒した。
 よし、今まで行けなかったジャングルの奥へと行ってみよう!


 無人島生活384日目。

 ジャングルの奥へと逝ってきたぜ。
 恐竜君クラスのモンスターがうじゃうじゃいた。
 10日ほど偵察して命からがら逃げかえってきた。

 
 うわっ……私の戦闘力、低すぎ……?


 無人島生活10年目。
 記念すべき?10年目である。もう面倒だから日数は数えない。
 救援もこない。俺は一生ここで過ごすのだろうか……。
 まあ、そんなに悲観していない。
 いまの無人島サバイバル生活も結構楽しいし、もっと強くなりたい。


 まだ見ぬ強敵が俺を待っているぜええええ!


 無人島生活30年目。

 この島一体何なんだ。マジ摩訶不思議アドベンチャー。
 モンスターは種類が多くて強いし、大自然は様々な地形があって飽きさせない。
 修行するには、うってつけということだな!


 無人島生活50年目。

 感謝の正拳突きが音速を超えた。


 無人島生活100年目。

 気と魔力の合一(シュンタクシス・アンティケイメノイン)、咸卦法!


 無人島生活150年目。

 豪殺居合い拳!


 無人島生活200年目。

 ねんがんの断罪の剣(エクスキューショナーソード)をてにいれたぞ 


 無人島生活250年目。

 神鳴流、極大 雷鳴剣!!


 無人島生活300年目。

 解放・固定(エーミッタム・エト・スタグネット)千年(アントス・パゲトゥー・)氷華(キリオーン・エトーン)」!!
 掌握(コンプレクシオー)!!
 術式装塡 「千年(アントス・パゲトゥー・)氷華(キリオーン・エトーン)」!!
 術式兵装(プロ・アルマティオーネ)氷の女王(クリュスタリネー・バシレイア)」!!

 闇の魔法(マギア・エレベア)!!!


 無人島生活400年目。

 音速を超える正拳突きと咸卦法と無音拳と神鳴流と闇の魔法(マギア・エレベア)にはさしもの島の主も勝てなかったらしい。
 なんか技のデパートみたいになってしまったぜ。
 これで、弱かった『俺』とはお別れだ。
 今日から私は本当の意味でエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルになるのだ。
 さあ、というわけで島の外に飛び出してみようか! 


 まだ見ぬ世界が私を待っているぜええええええええ!


 ……ちなみに、島の主は、半透明の幽霊だった。

"長き眠りより目覚めしDの意思の前に、ひれ伏すがいい "

 とかいうからボコボコにしてやった。

"くっ、簒奪者どもめ。見よ! この戦艦こそ至高の古代兵器で―― "

 と言っていたが、なんだったんだろう?
 なんかうざくて瞬殺してしまったが。フッ、私の強さが恐ろしいぜ。
 えーと戦艦の名前はなんだったっけ。プルタン? そんな感じだったような気がする。

 戦艦ヤマトを知っている私としては、全く感動しなかったな。
 残骸はいい材料になったけれどね。
 まあ、私がそんなに強いわけないから、あやつの自意識過剰というやつだろう。
 中二病乙。
 

 無人島生活401年目。

 ナニあの巨大な海獣。勝てるけれど、数が多すぎて遠くには飛べなかった。無念。





「と、いうわけだな」
「……ゴ主人モ苦労シテルンダナ」

 チャチャゼロに心底同情された。
 こいつは私の魔法で作った自慢の従者人形だ。
 かわいらしいフランス人形で、まあローゼンメイデンみたいなもんである。
 惜しむらくは、なぜか原作のように好戦的な性格になってしまったことだろうか。

「オレノ性格ハゴ主人ノ気質ヲ反映シタモノダゼ?」
「何? 私はお前のようなキリングマシーンではないんだが」
 
 やれやれ、と憐れむような眼で見られてしまった。なぜだ。


 もちろん、無人島に道具なんてなかったのだが "あるもの" によって解決した、それは――

「オッ、ゴ主人、マタ漂流船ダゼ?」
「ほう、これはついているな」

 漂流船である。
 私が島を支配した200年前くらいから流れ着いてくるようになった。
 この世界に人がいる証明である。
 ただ、木造船ばかりなので、この世界はネギま!の過去の世界なのかもしれないな。
 この材料や道具によって、チャチャゼロだけではなく、いろいろな魔法薬なども作ることができた。錬金術楽しいです。

「オイ、ナンカ浮イテルゾ? ケケケ、土座衛門ッテヤツカ?」
「そうか、土座衛門とは珍し―――――はあッ!?」

 白と水色の水兵服?を着ている少年が波間に見えた。
 転生してから初めて見る『人』の姿だ。
 丸太のようなものにつかまっている、ということは、だ。

「まだ、生きてるぞ!? くそっ、今助けるからな」
 
 転生してから丁度600年目。ようやく私の物語が動き出す。





◆◇◆

・ネギま!
新作出てます!

・エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル
ネギま!出身。ハーメルンでもよく見かける人気なロリババア。結婚しよ。

・チャチャゼロ
ネギま!原作にも登場した魔力で動く戦闘人形。エヴァンジェリンの従者であり、前衛を務める。
包丁を振り回すホラー人形。が、この主人公は肉弾戦に滅法強いため、最近存在意義を見失いかけている。
セリフを書くのが非常に面倒くさい。

・うわっ…私の年収、低すぎ…?
作者は死ぬ。

・世界はいつだって、こんなはずじゃないことばっかりだよ!!
リリカルなのはのクロスケことクロノ・ハラオウンの名台詞。
一時期、二次創作界隈でKY扱いされまくっていた哀れな子。犠牲になったのだ……。

・絶対×××なんかに負けたりしない! ×××には勝てなかったよ……。
良い子はググっちゃ駄目。

・テレビもねえ! ラジオもねえ!
オラこんな島いやだ~オラこんな島いやだ~。IKUZO。

・ささやき - いのり - えいしょう - ねんじろ!
往年の名作『Wizardry』シリーズのセリフ。

・感謝の正拳突き
ハンター×ハンターのネテロ会長の真似。さすがに百式観音は習得できなかった。
が、彼女の技を受け継いだとある原作キャラが使えるようになる。

気と魔力の合一(シュンタクシス・アンティケイメノイン)
咸卦法である。

咸卦法(かんかほう)
ネギま!の究極技法(アルテマ・アート)と呼ばれるほどの必殺技。
右手に気、左手に魔力を込め合体させると超パワーアップする。

・豪殺居合い拳
ネギま!の必殺技。無音拳(居合い拳)というポケットを鞘に見立てて、手を居合抜きのように振りぬき気を飛ばす技術。
大砲並みの威力がある。

断罪の剣(エクスキューショナーソード)
ネギま!のエヴァンジェリンの魔法。
液体の物質を無理矢理気体に相転移させて剣(断罪の剣)として使える。
この剣ができたことで、剣術の修行に明け暮れるようになる。

・神鳴流、極大 雷鳴剣!!
京都神鳴流とは、ネギま!に出てくる剣術の流派。様々な技を習得している。
雷鳴剣はその奥義にあたり、剣先に電気エネルギーを帯電させながら剣を振り下ろし、落雷のような一撃を放つ。

闇の魔法(マギア・エレベア)
ネギま!のエヴァンジェリンの奥義、その名も闇の魔法(マギア・エレベア)
半径数キロにおよぶ氷のフィールドを展開し、その中では上級以下の氷結魔法が無詠唱で打ち放題というぶっ壊れ性能。
 
・古代兵器?
名前すら覚えてもらえなかった哀れな犠牲者。結構重要なヤツだったのに瞬殺された。
主人公がラスボスになった瞬間である。本人は全く気付いていない。

・600年
奇しくも原作エヴァンジェリンちゃんも600歳くらい。修正力さん頑張った。
才能のない凡人だったが、ひたすら鍛えたお陰で、その実力は原作を上回る。

・謎の少年
原作キャラです。 
 

 
後書き
※息抜きで昔書いたものです。
※主人公はいまだにネギま!の世界だと勘違い中。
※少年はワンピースのとある原作キャラです。

・補足はあとがきの字数制限にひっかかったので、本文に入れてあります。 
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