八条学園騒動記
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第四百六十八話 破滅願望その五
「それは」
「麻薬中毒の人の死に方だよね」
「急にぽっくりにしてもね」
「そのボロボロになってもね」
そうした死に方もというのだ。
「それこそね」
「そうして死ぬのも」
「麻薬中毒の人のそれだし」
「この人もなのね」
「そうした死に方かもね」
「そうなのね、ただあんた詳しいわね」
アロアはここでネロに問うた。
「麻薬中毒の人の死に方について」
「本で読んだんだ」
「それで知ってるの」
「うん」
ネロはアロアに素っ気ない感じで答えた。
「この目では見てないよ」
「見たみたいな言い方だったけれど」
「中毒の人は見たことがあるけれどね、子供の頃近所にいたんだ」
その麻薬中毒患者がというのだ。
「もう目が虚ろで周りがクマになっていてお肌もボロボロでね」
「それかなり重度よね」
「それでもう死んだよ」
「ああ、麻薬中毒で」
「うん、本当に廃人になってね」
ネロは彼にしては珍しくやや暗い顔で話した。
「それでね」
「死んだのね」
「うん、身体が骨と皮ばかりになって道で倒れてて」
そうしてというのだ。
「病院に担ぎ込まれた時はね」
「死んでたのね」
「そうなったんだ、もう毎日麻薬やってて」
「ボロボロになって」
「それで死んだから」
「ううん、そのお話聞くとね」
「やっぱり麻薬はね」
ネロもこう言った、その麻薬中毒患者を診てきた彼も。
「怖いよ、それでシャバキさんはね」
「その麻薬をなのね」
「脳内で生産していて」
「それで近いうちに」
「死ぬんじゃないかな」
どれだけ強靭な肉体を持っていてもというのだ。
「やっぱり」
「言うなら脳内麻薬中毒ね」
「それでね、脳内で生産されていても麻薬は麻薬だし」
それでというのだ。
「見たところ中毒はかなり進行しているし」
「進行しているというか」
アロアはそのシャバキを見てこう述べた。
「もうね」
「末期かな」
「これ麻薬中毒だと末期でしょ」
「その近所の人はもう最期の方ずっと空を見てブツブツと言ってたけれど」
そうした状況だったというのだ、麻薬で神経どころか精神も完全に崩壊していた為であろうとネロは思っている。
「この人はずっとこうだからね」
「症状が違うから」
「僕が見たのとね、だからね」
それでというのだ。
「わからないけれど」
「そうなの」
「うん、まあ多分ね」
「末期症状なのね」
「そうだと思うよ」
こう言うのだった。
「充分にね」
「そうよね、言ってることの支離滅裂さ見たら」
その支離滅裂さも狂気の証拠とされているがその通りだ。
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