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リング

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58部分:ローゲの試練その十二


ローゲの試練その十二

「ならばよい。ではこのまま今度は左翼の艦隊を撃つ」
「反転する前に左翼にいた艦隊ですね」
「そうだ、今は右翼にいる敵だ」
 そう言って訂正する。
「今の時点で右翼にいる敵艦隊を叩く」
「はっ」
「よいな。ではすぐに攻撃に移るぞ」
「了解」
 ローエングリンの艦隊はさらに動いた。そして右翼の敵艦隊が背を見せて通信妨害の前に戸惑っているのを見てまたもや一斉射撃を加えた。
「撃て!」
「撃て!」
 ローエングリンの攻撃命令が復唱される。そして敵軍は瞬く間に先程の友軍と同じ様にその戦力を壊滅させたのであった。
「そして最後の艦隊を叩く」
 彼は三つ目の艦隊を叩くことを宣言した。
「よいな。また一気に叩くぞ」
「了解です」
 それに従い攻撃命令が出される。そして今度は右側面から攻撃を仕掛けた。今度もまた戸惑ったままであった。攻撃は呆気ないまでに成功し三つの艦隊は撃破された。こうしてローエングリンは金槌を全て叩き潰したのであった。
「さて、と」
 彼はそのうえで戦場を見据えた。
「残るはあの艦隊だけだな」
 その目の前にはテルラムントが直率する二個艦隊があった。
「さて、どうするかだ」
「ローゲは二手に分かれて攻めるのがいいと出していますが」
「挟み撃ちか」
「はい。それも斜めから攻める戦術です」
 フルトヴェングラーがこう述べた。
「斜めから」
「そうだ、斜めからだ」
 ローエングリンは答えた。
「いいな、二手に別れ、それぞれ斜めから攻める」
「わかりました」
「右の舞台は私が率いる」
 彼はさらに言った。
「そして左翼はクナッパーツブッシュ提督が率いてくれ」
「わかりました」
 モニターに姿を現わしたクナッパーツブッシュがそれに頷いた。
「それでは頼むぞ」
「はい」
「同時に攻撃を仕掛ける」
 彼はさらに言った。
「ローゲはそう出している。これに勝つことができれば」
「勝つことができれば」
「このローゲというコンピューターはまさに天才だ」
 彼は考えながら述べた。
「それを見極める為にもここはやってみる。失敗した時は私が作戦を執る」
「それでは」
「うむ、全軍行動開始」
 ローエングリンは指示を下した。
「そして最後の戦いに挑む。よいな」
「了解」
 こうして最後の攻撃が開始された。ローエングリンはローゲの策に従い軍を二手に分けた。そしてそのうえでテルラムントが率いる軍に向かって攻撃を開始した。
「敵の陣の端を狙え!」
 彼は軍を進ませながら言う。
「敵は方陣を敷いている!その角をだ!」
「了解!」
 それに従い攻撃が行われる。テルラムントの軍も攻撃に出ようとする。だが角を狙われ思うようにできない。そしてそのうえ重装備、重装甲であった為動きも鈍かった。反応が遅れてしまったのだ。
 それこそがローゲの狙いだったのだろうか。動きの鈍いテルラムントの軍勢は集中砲火を受けて撃沈されていった。それを二方向から同時に受けたのだ。これにはさしもの重装備、重装甲の艦隊も太刀打ち出来なかった。
 ローエングリンは軍を一気に叩き付ける。そして敵軍が混乱したのを見計らって次の行動に出た。
「艦載機を出せ!敵の空母は少ない!」
「はっ!」
 艦載機が繰り出される。中には接舷して斬り込む艦艇もあった。その中にはローエングリンが乗艦するケーニヒもあった。彼はテルラムントの旗艦であるオストマルクに乗り込んでいた。
「行くぞ!」
「はい!」
 彼は自ら先頭に立ちオストマルクに入っていく。そして一路艦橋を目指すのであった。
 
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