ハイスクール D×D +夜天の書(TS転生オリ主最強、アンチもあるよ?)
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第1章 これから始まる物語
プロローグ
前書き
『八神はやては舞い降りた』のプロトタイプになりますが、設定などが結構変わっています。
最終話まで書いてあるので、完結までお付き合いいただければ嬉しいです。
『明日は、僕の9歳の誕生日。
お父さんとお母さんと、久しぶりに、皆で朝早くからお出かけして、夜は一緒にケーキを食べるんだ。
お母さんと一緒にお夕飯を食べて、お風呂に入って、歯磨きしたら、「明日は早いからもう寝てなさい」ってお母さんに言われました。
まだ眠くなかったから「お父さんが帰ってくるまで起きてる!」って言ったんだ。そうしたら「お父さんは帰りが遅くなるから、お手紙を出したらどうかしら」ってお母さんに言われたの。
僕は、元気よく返事して、お手紙を書いたら、
眠たくなって、お母さんにおやすみのあいさつをした後、日記を書いています。
明日が早くこないかな。
わくわくして眠れるか心配だったけど、
わくわくしすぎて、眠っちゃいそう。
お父さんの好きな言葉を書いたら眠ります。
おやすみなさい。
世界が平和でありますように』
(「199X年6月3日」誰かの日記帳より)
◇
――――5歳くらいだっただろうか。
頭のなかに「誰かの記憶」が湧いて出てくることに気付いたのは。
誰かの記憶を思い出そうとすると、頭にもやがかかったようになって、――顔も名前も家族も個人情報に関する全てを――うまく思い出せない。
その癖、知らない知識が泉のように湧いて出てきて、知識の使い方や、知識を得る方法など色々なことが「わかった」。
普通、いきなり他人の記憶をみせられたら混乱すると思うが、なぜだか「当たり前のように」馴染むのだ。まるで、前から知っていたかのように、平然としていた。
なんとなく、これが「前世の記憶」なのか、と納得したり感心したり(今思えば、ずいぶんのんびりとした性格だったと苦笑してしまう)。
前世の記憶は、一度に全てが蘇るわけではなく、断片的にゆっくりと浮かび上がってきた。これも、頭が混乱しなかった理由だと思われる。
おかげで、「僕」は、周りから「ちょっと大人びた子ども」と認識され、自由に振る舞うことが出来た。
ただ、困ったこともあった。前世の「僕」は、「俺」という言葉を使っていたようで、前世の知識を使って考え事をしているときは、つい「俺」口調になってしまう。
俺俺言いまくっていたら、お母さんに泣かれたので、なんとか改めたが。それでも、思考中では、やっぱり「俺」だった。
きっと前世のボクは、男だったのだろう。――けれども、身体とのギャップだけには、なかなか慣れることが出来なかった(割り切った今でも、たまに戸惑うことがある)。
困りごとは、もうひとつある。「僕」はなんと、複数の物事を同時に処理することができた。至極自然とできていたために当時は気づかなかったが、異常な才能だったと、今なら分かる。
複数の物事を処理する――マルチタスクというらしい――とき、「僕」はではなく、「わたし」で考えることが多かった(ちなみに、前世の知識を用いる場合、「俺」と「わたし」の両方を使っていた)。
「わたし」と言う分には、「僕」と「わたし」のどちらを使うのか迷ってるのねぇ、と、お母さんに微笑ましく思われていたようだ。そんなこんなで、「僕」「俺」「わたし」の境はとても曖昧で、複数の人格が存在するわけでもなく。
頭を切り替えるときに自然と口調が変わってしまう程度で、日常生活において特に支障はなかった。
前世の知識とやら便利なものだ。それが、当時の「僕」の認識だった。
――そう。あの日までは。
『6月3日から6月4日――「僕」9歳の誕生日――へと日付が変わる午前0時』
――――この時を境に、「わたし」と「俺」は「ボク」になった。
「僕」はこの日を忘れない。生涯忘れることはないだろう。
当たり前の日常が一瞬にして崩れ落ち、非日常の餌食になった日を。
父と母が死に、ボクだけが生き残った日を。
大事な家族を失うと同時に新しい家族を得た日を。
「僕」は知ったのだ。知るしかなかった。
当たり前と思っていた日常が、如何に尊いかを。
非日常おいては、弱者は、強者の気まぐれで、時に庇護され時に蹂躙されるしかないことを。
そんな「僕」がひたすらに力を求めたのは、必然だったといえよう。
大切な日常を守りたい。理由はそれだけ――だったはず。
この日、「ボク」こと八神はやては、動き出す。
前世では、「ハイスクールD×D」と呼ばれていた物語の世界で、「リリカルなのは」の世界で畏怖されたロストロギア『夜天の書』のマスターとして生きていく決意をした。
家族と一緒に幸せに暮らせれば、他に何もいらなかったのに。
ボクはただ、日常を取り戻したかっただけなのに。
けれども、僕の最初の願いは――――だった。
もちろん、「ボク」は独りで戦ってきたわけではない。愛する家族――ヴォルケンリッターとリインフォースを合わせた5人――で力を合わせて、頑張って来たんだ。
原作なんかに負けない!
◆
『天が夜空で満ちるとき
地は雲で覆われ
人中に担い手立たん』
(とあるベルカの「預言者の著書」より)
これから語る話は、直向きに平穏な日常を願う少女と家族たちの物語。
ありふれた喜劇。
ありふれた悲劇。
たとえば、そんなファンタジー
――――それは、夜天の王「八神はやて」と家族たちの奮闘記。
後書き
一度完結させているので、更新ペースは速いと思います。よろしくお願い申し上げます。
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