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納戸婆

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第六章

「これがのう」
「そうでしたか」
「しかし納戸を閉じればな」
 それでというのだ。
「わしは引っ込むぞ」
「そうですか」
「うむ、ではな」
「それでは今から閉じますね」
「そうするか」
「これでな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 ダイアナが納戸を閉じると妖怪は引っ込んだ。ダイアナは一部始終を見てから脚立を降りてそのうえで恵子と理沙に言った。
「本当にいましたね」
「正直言って驚いたわ」
「本当にね」
 二人もこう答えた。
「まさかと思ったけれど」
「妖怪が本当にいたなんて」
「しかもあんなに明るくて気さくな感じだなんて」
「怖いっていうイメージがあったのに」
「妖精も幽霊も面白いものですよ」
 ダイアナは二人に笑って話した。
「ああして。私の従妹も今日本に来てますが日本の妖怪見たいって言ってます」
「従妹の人もなの」
「そうなの」
「はい、エミリーっていいますが」
「エミリー=カーライルさん?」
「お名前は」
「はい、そうです」
 姓も同じだというのだ。
「そのエミリーも妖怪に会いたいって言っています」
「じゃあこのお店に読んでみたら?」
 それならとだ、恵子はダイアナに話した。
「それじゃあね」
「そうよね。どうせだから」
 それならとだ、理沙も言った。
「ここに来てもらったらいいわよね」
「そうよね」
「エミリーに言ってみますね。それじゃあ脚立をなおして」
 ダイアナは脚立をてきぱきとした動きでなおしつつ二人に言った。
「またお仕事ですね」
「ええ、今はお客さんがいないけれどまた来るでしょうし」
「このお話はそれまでにしてね」
「それじゃあね」
「お仕事再開しましょう」
「わかりました」
 ダイアナは二人に笑顔で応えた、そうして仕事に戻った。すぐに客が来てコーヒーを注文してきた。店は妖怪から日常に戻っていた。


納戸婆   完


                  2018・5・25 
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