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料理を食う資格

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第一章

               料理を食う資格
 レアンドラ=アストンは王宮がある首都での最近の噂を聞いてまずはその眉を思い切り吊り上がらせた。
「何、その連中」
「いや、何でもだよ」
 レアンドラと親しい王宮を警護している兵士が彼女に話した。
「日本から来た陶芸家と新聞記者の親子でね」
「その連中が仲間を引き連れてなの」
「自分達と同じ新聞記者やら悪徳刑事らやら落語家くずれを連れてね」
 そのうえでとだ、兵士はレアンドラに話した。
「店に入るだろ」
「それで料理を食べてなの」
「もうまずい、化学調味料使うなだの偽物だ食べられないだの色々文句をつけてね」
「お店の中で喚いて暴れて」
「それで営業妨害をしているんだよ」
「日本人は静かで礼儀正しいわよ」
 レアンドラは自分が知っている日本人達のことを話した。
「まさに侍よ」
「けれどどの国にもいい人と悪い奴がいるだろ」
「その連中は悪い奴なの」
「日本じゃ何でも新聞記者やらテレビ関係者は酷いらしいんだよ」
「マスコミは」
「それでその連中もな」
 その陶芸家と新聞記者の親子もというのだ。
「マスコミ関係者でな」
「海外に取材に来て」
「我が国の店でやりたい放題やってるんだよ」
「まさにならず者ね」
「まさにじゃなくてそのものだってな」
「そんな感じなの」
「日本のマスコミってどうなってるのよ」
 レアンドラはこのことに疑問を持った。
「一体」
「だからならず者だよ、それも権力を持ったな」
「それ最悪ね」
「マスコミだから報道する力があってな」
「その力を悪用もしてなのね」
「もうやりたい放題でな」
 日本のマスコミ関係者とはそうした連中だというのだ。
「他の国でもそうなんだよ」
「営業妨害繰り返してるの」
「そうなんだよ」
「それでその連中の写真ある?」
 レアンドラは既にその目に殺意を宿らせていた、過去に人を殺めたことがあるがこのことは彼女のトラウマだ。
「それで」
「こんな連中だよ」
 兵士が出したスマホの画像に彼等がいた、見事な着物にオールバックの傲慢そうなアジア系の男とその男を若くした様な外見のやはりオールバックの黒い男を中心とした連中だ。
 その連中の写真を出してだ、兵士は言った。
「父親の名前は山川海彦、息子は岡山四郎っていうらしいな」
「親子で名前が違うの」
「親父は陶芸家の名前だよ」
「ペンネームみたいなものなのね」
「ああ、この親子を中心とした連中がな」
「お店というお店を荒らし回っているのね」
「そうさ、何でも毎朝新聞の記者らしいな」
 日本では長年の度重なる捏造記事で悪名高い新聞紙だが外国人の彼等が知ることではない。
「この連中があんたのターゲットになるか?」
「なったわ、今度この連中が行きそうな店ある?」
「ああ、そこはな」 
 兵士はレアンドラに彼等が行きそうな店を話した、そこはこの国でも有名な郷土料理のレストランだった。
 レアンドラはその店に行ってだ、無理を言ってそうしてキッチンに入らさせてもらった。そこで連中が来るのを待っていたが。
 まさに連中は来た、両手をズボンのポケットに入れてガニ股で肩で風を切って歩いている息子の姿を見てだった。
 レアンドラは周りに聞いた。
「ヤクザ?」
「いや、あれがな」
「日本のマスコミ関係者らしいぞ」
「本当にあんな態度らしいぞ」
「もう何でもやりたい放題でな」
「行いも悪いらしいんだよ」
 それでヤクザそのものの風貌になっているというのだ。 
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