夢幻水滸伝
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第五十一話 東国からの使者その四
「今の僕等は日本統一やな」
「それをすることやね」
「そしてその前にな」
「あの娘達も正式に迎え入れるんやね」
「そうしよな」
こう言ってだ、芥川も酒を飲んだ。そうしてその酒についてこう言ったのだった。
「この酒美味いな」
「そやろ、程よく甘くてな」
「すき焼きに合うな」
「すき焼きやったら辛口って思うけど」
すき焼きに合う日本酒はというのだ。
「このお酒も合うねん」
「そやねんな」
「確かによお合うな」
中里も杯の酒を飲んでから言った。
「この酒はすき焼きに」
「そやな、幾らでもいける感じやわ」
「ああ、しかしそれでもな」
中里は綾乃を見ても言った、自分達と共にいる彼女を。
「綾乃ちゃんの飲みっぷりは桁がちゃうわ」
「今日も凄いな」
芥川も綾乃を見た、自分達を合わせたものの倍の量を飲んでいる彼女を。
「どんどん飲むな」
「ほんま酒強いな」
「いや、お酒はほんまにやねん」
ほんのりと赤らんだ顔でにこりと笑ってだ、綾乃はその二人に答えた。その間も杯は彼女の手の中にある。
「大好きやし幾らでもな」
「飲めるねんな」
「そやねんな」
「あっちの世界でも学園の中の神社の娘おるやん」
「ああ、二年のトライアスロン部の」
「あの娘やな」
「あの娘と一緒によお飲んでるけど」
学園での話もするのだった。
「負けたことないで」
「あの娘相当なうわばみって聞いたけどな」
中里はいささか眉を顰めさせて綾乃に返した。
「あの娘にもかいな」
「負けたことないで」
「そうなんか」
「あと甘いものも好きやし」
「お酒だけやなくてやな」
「それでいつも食べてるやん」
この話もする綾乃だった。
「お菓子とか果物も」
「そういえばそやな」
「今晩のデザートは蜜柑やで」
「すき焼きの後でやな」
「締めはおうどんやけど」
すき焼きのそれはというのだ、すき焼きは醤油と砂糖を多く入れるので雑炊は難しいがこちらや餅は合う。
「そのさらに後でやで」
「蜜柑やな」
「それも食べよな、日本酒と蜜柑も合うし」
「デザートの時も飲むねんな」
「そうしよな、お酒はな」
何といってもという口調での言葉だった。
「食べる時は最後の最後まで飲むもんやで」
「最後はお茶やなくてか」
「お茶もええけど」
「食べる時はか」
「最後まで飲むものやで」
言いつつまた飲む綾乃だった、そうした話をしつつすき焼きも食べ。
そしてだ、三人で締めのうどんも蜜柑も食べた。勿論酒も飲んだ。
この神星の者が集まっての夕食を終えてだ、綾乃は満腹している二人に笑顔で言った。
「二人共まだ動ける?」
「何とかな」
「動けるで」
二人は綾乃に満腹になり過ぎて苦しくなっている顔で答えた。
「めっちゃ飲んで食うたけどな」
「鍋も空にして」
「蜜柑も食うて飲んで」
「苦しい位やけどな」
「そやったら歯を磨いてな」
「お風呂はもう入ってるし」
「後はやな」
二人もわかっていて綾乃に応える。
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