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夢幻水滸伝

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第五十一話 東国からの使者その二

「もっともそこは太宰に監督させたらええ」
「喜久子ちゃんも入ったしな」
 警官として治安を担当する彼女もというのだ。
「そうしたことは絶対に注意する娘やし」
「ああ、風紀委員長か」
「あの娘もおるしな」
 それでというのだ。
「目付け役はおる」
「さぼらさせんか」
「これからはな、そのこともあるしな」
「あの四人も戦力になるからか」
 軍事だけでなく内政もだ、あの四人は実は戦だけでなく内政でもそれなりの力を発揮して活躍してくれているのだ。
「他の勢力に行かれん様にか」
「契約延長というか迎え入れてな」
「そしてやな」
「これからも働いてもらう」
 こう言うのだった。
「そうしてもらうわ」
「正式に来てもらうんか」
「さもないとな」
「あの連中が他の勢力に行ったらやな」
「正直厄介や」 
 この現実をだ、芥川は指摘した。
「四人も星の奴が他の勢力に行くんやぞ」
「特に太平洋での戦の時にやな」
「そうなったらどないや」
「正直避けたい展開や」
 中里は今度は肉、すき焼きのメインとも言えるこれを食べつつ芥川に答えた。肉に絡ませている卵も美味い。
「それはな」
「そやろ、そやったらな」
「ここはやな」
「あの四人を雇うんやなくてな」
「迎え入れるんやな」
「そうするんや、しかもあの連中は戦力にもなる」
「敵として厄介やとな」
 味方ならどうか、中里はあらためて思った。
「こっち側やと頼りになる」
「そういうこっちゃ、別所さんの理屈や」
「ああ、巨人が南海から強奪した人か」
 巨人の数多い忌まわしき唾棄すべき悪行の一つである、南海の戦力をダウンさせる為に知将三原修が行ったがフロントも乗った。もっともこの強奪が原因となって三原は巨人を追われ西鉄に行くことになった。
「あの理屈か」
「そや、敵になったら嫌な戦力はや」
「こっちやと頼りになる」
「そういうことや、逆のパターンもあるけれどな」
 敵になると頼もしい無能な者は味方になると有害ということだ。
「有能な奴やとな」
「こっちでしっかりとやな」
「掴んでおくべきや」
「それも戦略やな」
「そうや、それでや」
「あの四人もやな」
「手放したらあかん」
 勢力として、というのだ。
「そういうこっちゃ」
「そういうことやな」
「そうやな」
 二人で話してだ、そのうえでだった。
 話を聞いていた綾乃もだ、杯の中の酒を飲んでにこにことしつつ言った。
「あの娘達はほんまに頼りになるし」
「仕事してる時はな」
 芥川は綾乃にはこう述べた。
「怠けとらん時は」
「休む時は休まな」
「あの連中はすぐにさぼるからな」
 それこそ目を離せば即座にだ、それがあの四人だ。
「それが腹立つけどな」
「そやろか」
「僕的にはな。まあ綾乃ちゃんの考えはいいと思うで」
 その心の広い人の長所をよく見て認めることはというのだ。
「棟梁、将の将の器や」
「棟梁はそれでええのん」
「一つの形や、主のな」
「そうやねんな」
「女帝や雷帝な主の形もあれば」
 圧倒的な力と威圧で支配するものもあればというのだ、この二人はそうしたもので治める者達だというのだ。 
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