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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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序章~全ての始まり、守護者の刃~
第3章 激闘!ディエンド編
  第46話『ハート トゥ ハーツ』

─夢を、夢を見ていました。夢の中の私は、様々な困難と、みんなの危機を乗り越えていました。そして、ついに私達のいるここへ。でも、夢の中の私の心はもう、限界でした。もう止めて!これ以上は、あなたの心が壊れちゃう!それでも、あの人は辛い顔一つ見せず、みんなを助けています。今も!─


「雅さん、さっき言っていた『また』ってどういうことですか?」
「僕がこの『スクライド』の世界に来たのは今回の旅の中で二回目なんだ。」
圭一の質問に雅は答えながらサモンライドのカードを広げる。
「彼らは一定のタイミングでないとライドカードに出来ないんだ。」
「あれ?この人達みんな同じ制服を着ている。」
「そうだフェイト。彼らはこの世界に治安と秩序を作ろうとする組織、『Holy』の隊員だ。」
「治安と秩序、いい響きですね!」
雅の説明に圭一は嬉しそうに反応するが、
「とんでもない。彼らはその力を笠に悪政を敷いていたようなものだ。特にこの男は女性や子供を平気で殺せるような奴だ。」
「治安や秩序はどうしたんですか!」
「そうだね、この世界の説明がまだだった。この世界は、ある日、大地が突然隆起し関東地方の辺りが本土と離れてしまう。それによって本土から離れてしまった土地はロストグラウンドと呼ばれるようになり、交通機関や通貨の全てが機能しなくなってしまう。そして、ロストグラウンドで生きる人達の中に、ある力が宿った。周辺の物質を粒子レベルに分解し、武器に変換する力、通称アルター。アルターには様々なパターンがある。自身の装甲を作るもの、自立行動して使用者をサポートするもの、形に現れずに能力として付与されるものがある。アルターを得た者は荒廃したロストグラウンドで力を振り翳して食料を強奪したりもしていた。」
「だから秩序を作ろうとしていたのですか?」
「いや、本土は将来的にロストグラウンドを日本領土に取り戻そうとする為だ。だが、十年以上放置され何の通達も無い中いきなり押し寄せて反抗するなら殺すと言われれば誰だってアルターを使って抵抗する。ロストグラウンドの中には、アルターを使ってアルターを持たない人と真面目に地域復興に助力していた人もいた。しかし、そんな人もHolyにとっては悪と認識し、復興した街さえも破壊していた。」
「そんな…酷すぎる。」
「ああ、日本の手から離れて放置されたロストグラウンドは、もはや日本ではなくなっていた。主人公のカズマさんはその拳でロストグラウンドの生き方を貫き続けたんだ。」
雅はカズマのサモンライドカードを見せる。
「なんか随分ガラの悪そうな人ですね。」
「まあ、Holyからは反逆者(トリーズナー)と呼ばれていたくらいの人だ。カズマさんのアルターはシェルブリットという右腕に纏う装甲型のアルターで、戦いの中でアルターの塊を吸収したんだ。」
「それじゃあ、海東さんの狙いって!」
「ああ、カズマさんのシェルブリットだ。当然、主人公が消えれば世界はすぐさま崩壊する。とにかく、すぐに行かないといけない。」
雅は立ち上がり、すぐに移動しようとする。
「雅、私も一緒に行きたい。」
「フェイトが自分から行きたいなんて珍しい。わかった、一緒に行こう。」
「それじゃあ、俺達は留守番していますよ。雅さん、こっちは俺達に任せて下さい。」
「圭一、ありがとう。そっちは頼んだ。」
雅とフェイトは出て行く。

「本当にすごい荒れている…」
ロストグラウンドを歩くフェイトは感想を呟く。
「まあ、今は本土による武力行使が強まっている時期だからね。」
雅は話しながら市街地に入る。
「雅、何処に向かっているの?」
「少々、会いたい人がいるんだ。」
「どんな人だろう…」
「着いたよ。フェイト、どんな人が出てきても驚かないで。」
雅は扉をノックする。
「はい!」
子供の声が聞こえ、扉が開くと、フェイトと同い年程度の少女がいた。
「なのは?」
フェイトは驚くが出来る限り声を小さくした。
「フェイト、彼女は由詑かなみさん。カズマさんと一緒に暮らしているカズマさんの連れみたいな人だ。」
雅の紹介を聞き、かなみは照れる。
「雅さん、お久しぶりです。」
「こちらこそ、この世界の危機を教えていただき、ありがとう御座います。」
雅はかなみと握手する。
「えっと…雅に、教えた?」
「ああ、この世界のワールドホープはまだ発動していない。だから僕の記憶が残っているんだ。」
「でも、どうやって教えたの?」
「かなみさんのアルターは、夢を使って人の精神世界に入り込み、意識を共有する力で、僕にアクセスして海東の存在を教えてくれたんだ。それでかなみさん、カズマさんの居場所はわかりますか?海東はカズマさんのアルターを狙っています。」
「カズくんを!?分かりました。何処に居るか分からないですけど、頑張ってみます。」
かなみはそう言うと、体の輪郭が緑を主軸とした七色に光る。
「フェイト、あれがアルターの発動だ。地面を見てほしい。少し地面が抉れているだろう。」
雅の言う通り、かなみの周りの地面は少し抉れていた。
「雅さん、分かりました。カズくんの居場所。」
かなみは雅にカズマの居場所を教える。
「ありがとう御座います。フェイトはどうする?」
「私はもう少しここ観て回りたい。それに、雅一人で行かない意味が無い気がする。」
「わかった。かなみさん、もしよろしければフェイトにこの市街地を案内していただけませんか?」
「任せて下さい。雅さん、カズくんをお願いします。」
「はい。」
【ATTACK RIDE-WARP-】
雅はワープのカードで目的地の付近に転移する。

その頃、荒野で二人の男が殴り合いをしていた。一人は橙と白の装甲を全身に纏い暴力的な拳で殴りにゆく男、カズマ。もう一人は青紫の鋭角的な装甲を纏い男の拳を素早く回避し、腕の刃で戦う男、劉鳳。
「いい加減くたばりやがれよ!」
「それはこちらの台詞だ。貴様も立っていられるのがやっとだろう、カズマ!」
「それはお互い様だろ、劉鳳!」
二人の殴り合いは続く。
「思えば、俺が秩序を乱すネイティブアルターに振り回されたのは貴様が初めてだったな。」
「そういやあ、あんときに言っていたNPなんちゃらってなんだ?」
「あれか。NP3228か、あれは貴様の犯罪者番号だ。」
「人間を番号で呼んで楽しかったんか?」
「あれが楽しかったように見えるのか?」
「馬鹿な俺にだって、つまらなそうに見えていたよっ!今こうやって俺と喧嘩している方が楽しそうに見えるぜ!」
「それは嬉しくない褒め言葉だな!」
馬鹿の殴り合いは終わらない。
「そういやあ、お前も変わったよな!前は人のことをゴミ溜めみたいに言っていたけどよ、今じゃ俺と何も変わらねえ!」
「それは違うな!俺はロストグラウンドに合わせた秩序を作るだけだ!」
二人の拳が伸びるが、
「いい加減にして下さい!」
雅は二人の拳を片手で受け止める。
「てめえは、雅じゃねえか!」
「凪風か!一体何の用だ!」
「かなみさんの伝言を預かってきました!」
「かなみから!?」
「何!?」
雅の言葉で二人の動きは止まり、
「カルテットバインド!」
雅は二人を拘束する。
「話す前に、二人とも怪我の手当てをします。話が終わればまた好きなだけ喧嘩をしていいですから、体が無事でないと喧嘩も出来ないでしょう。」
雅は治癒魔法で縛り上げた二人を治療し、二人に事の経緯を話した。
「なるほどな。泥棒がカズマを狙っているというわけか。」
「なんだよ。そんな簡単な事かよ。回りくどく話すなよ、雅。」
「そんな簡単な話ではないから順を追って話したんです。」
雅は呆れるように言う。
「難しいもんか!要するに、いつも通りこの拳でぶっ飛ばせばいいんだろう?」
「海東にはそんな単純な戦闘は通用しません。」
雅がカズマに説明していると、
「その通りさ。でも、そろそろ僕の邪魔をしないでほしいな。」
海東が現れる。
「凪風、奴がお前の言っていた…」
「はい、奴が海東大樹です。」
「へっ、俺を狙っているっつーからどんな奴かと思えば、ひょろっちい奴じゃねえか!」
カズマはシェルブリットを纏い海東に殴りかかるが、
「おっと、そうはいかないよ。変身!」
【KAMEN RIDE-DEEND-】
カズマの拳をディエンドライバーで受け止め、海東はディエンドに変身。そのままカズマの肩を狙って撃つが、カズマはシェルブリットの手の甲で受け止める。
「さて、これならどうする?」
【ATTACK RIDE-ILLUSION-】
ディエンドはイリュージョンのカードで分身する。
「劉鳳さん、僕達も行きましょう!」
雅はディロードに変身し、分身したディエンドと交戦。ロードスラスターによる斬擊で分身したディエンドを撃破してゆく。
「また君は、僕の邪魔をするのか。でも、この世界のお宝、シェルブリットのカズマは僕が頂く!」
ロードスラスターの一撃を受けて怯んでいたディエンドが立ち上がり、そう言うと、
「カズマさんがお宝?何を言っているんだ。カズマさんはお宝じゃない。馬鹿力な馬鹿だ!」
「確かに、カズマはただの馬鹿じゃない。凄まじい馬鹿だな。」
「お前ら、よってたかって人のことを馬鹿呼ばわりしやがって!でも、そんな俺にとことん付き合うお前らも、立派な馬鹿じゃねえのか?」
「ふふっ、そうですね。それなら、馬鹿は馬鹿同士、仲良くやりあいますか!」
「ああ、そうだな。」
カズマ、雅、劉鳳は仲良く並ぶ。
「さて、前に作っておいて結局使わなかったこれ。使いますか。」
【WORLD HOPE-s・CRY・eD-】
ディロードはスクライドのワールドホープを発動する。それによって、ディロードへの変身が強制的に解除され、シェルブリットと劉鳳のアルター、絶影が融合したような装甲に雅は包まれる。
「これならいけそうだ。カズマさん、劉鳳さん、大丈夫ですか?」
「おう、見せてやろうぜ、男の子の意地ってやつをよ!」
「ああ、馬鹿が三人集まれば、道理も無理で打ち砕ける!」
雅、カズマ、劉鳳の三人は一斉にジャンプする。
「わざわざ狙われるように動くとは!」
ディエンドは雅を攻撃するが、劉鳳が素早く動き、全ての攻撃を弾く。そして、
「これが俺達の!」
「自慢の拳と!」
「自慢の脚だ!」
劉とカズマの拳、それにはさまれる雅の片脚蹴りがディエンドに直撃。ディエンドの変身は解除される。
「またやられたか。仕方がない。この世界のお宝も諦めよう。」
海東は次元のオーロラに去ってゆく。
「さて、やるべきことは済みました。後は好きなだけ喧嘩していいです。僕は海東を追わないといけないので。」
【ATTACK RIDE-WARP-】
雅はワープのカードで市街地に向かう。

「フェイト、こちらの用事は済んだ。帰ろう。かなみさん、フェイトの面倒、ありがとう御座います。カズマさんは相変わらず劉鳳さんと喧嘩していましたよ。」
「やっぱりそうですか。でもきっと、二人ともいいお友達だからでした大丈夫だと思います。ありがとうございました。」
かなみは雅に一礼し、雅とフェイトはこの世界を去った。

「次の世界は、また厄介な世界を選んだな…」
絵巻には、黒い悪魔のような異形に囲まれた少年を守るように、三人の男女が囲っている絵が描かれていた。
to be continued.

次回、スーパー邪神大戦α
次なる世界、それは凪風雅にとっては不真面目に思える世界。しかし危機は訪れる。狂気の神話の邪神は、雅と供に何を護るのか。男、一人気まずい空気の中で何を思う。 
 

 
後書き
新カード紹介
スクライド(ワールドホープ):スクライドの世界のワールドホープ。雅のアルター能力が覚醒(劇中未発動)し、シェルブリットと絶影を融合させたアルターを雅が装着する。


今回の次回系列は最終回からおよそ半月後位の話です。 
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